【NHKの今を探る】#2

 NHK職員が最も恐れているのが「NHKの民営化」だ。むしろ受信料を義務化し“国営化”するのが悲願であり、スクランブル化(見たい人が見る)を推奨する「NHKから国民を守る党」(N国)は目障りな存在にある。

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 フリーアナの久米宏氏(75)が官僚化するNHKを憂慮し、“分割民営化”を提案し波紋を広げている。単なるスクランブル化のN国とは違い、久米氏の発言はより喉元に短刀を突き付けた格好になる。

 NHKは民営化に対する“みなさん”の質問について、「民営化して利潤確保のため視聴率競争を重視せざるをえない民放を、日本の放送界にもう1社増やすことが、果たして視聴者のみなさまの利益につながるか」と説明。その上で、「地震災害や台風、緊急時報道、国会中継などの放送は、受信料で成り立つ公共放送だからこそ可能」と付け加えている。

 語るに落ちるとはまさにこのことで、緊急時放送や国会中継だけを専業とするテレビ局に改組すればいいことになる。

 制作会社の持ち込み企画「チコちゃんに叱られる!」に代表されるように、最近のNHKはエンタメ化が加速している。理由のひとつが軟派なコンテンツも提供できるという視聴者へのエクスキューズ。そのチコちゃんの司会を務める岡村隆史が驚いたのはスタッフの人数の多さだという。

■制作費流用で逮捕者

 NHKが民営化を阻止したいのは、本音のところでは、潤沢な番組予算と職員の厚遇を死守したいためだろう。例えば、1995年から続く長寿番組「鶴瓶の家族に乾杯」の1本当たりの制作費は1090万円、「ためしてガッテン(現ガッテン!)」が1680万円。大河ドラマ「篤姫」は5910万円で全50話で約30億円が投じられた。「おかあさんといっしょ」の330万円、「きょうの料理」の150万円といった低予算ながら健闘している番組もあるが、おしなべてNHKのコスト意識は薄い。「NHKスペシャル」では、長いケースだと10年もかけて制作に携わる職員もいる。

「2004年に紅白歌合戦などに関わっていたチーフプロデューサー(懲戒解雇)が番組制作費を詐取し、懲役5年の実刑を食らいました。NHKは当初、不正支出額を1900万円と発表していましたが、後に4800万円へ修正。裁判では6200万円にさらに金額が増えていました」(NHK関係者)

 紅白歌合戦の制作費は莫大だ。約3億円ともいわれ、例年6~7月には早くも準備室が立ち上がり、半年後の本番までに下請け制作会社など1000人以上のスタッフが関わる。

「選考は『のど自慢』など音楽番組への貢献、独自調査や有線放送・カラオケのランキングなど多岐にわたります。かつてはレコード会社ごとに最低1人は出演できましたが、今はない。地方局も1票持っていますが、やはり本局のプロデューサーに気に入ってもらうこと、忖度してもらうことが重要です」(芸能リポーター・石川敏男氏)

 最終的には、まさに今ごろ紅白のチーフプロデューサーら数人が判断を下す。絶対的な特権であり、一度やったらやめられないだろう。
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