パプアニューギニアで2日間にわたって開催されたアジア太平洋経済協力会議APEC)首脳会議が18日に閉幕した。首脳宣言は文言を巡って合意できず、1993年の第1回首脳会議以降で初めて採択を断念した。通商問題を巡り米中間の対立が強まっていることがあらためて浮き彫りになった。

カナダのトルドー首相は18日、記者団に対し、21カ国・地域間の協議は困難だったと説明。「貿易を巡る特定の要素で意見の相違があることはさほど意外ではないと思う」と論じ、「そのため、首脳宣言の文言で完全なコンセンサスを得られなかった」と述べた。

協議に詳しい米当局者は、中国が貿易に関する文言に難色を示したことを明らかにした。協議が非公開であったことから匿名を条件に話した同当局者によると、「全ての」不公正な慣行と闘うとの文言を首脳宣言に盛り込むことに中国が反対した。ほかの20カ国・地域はその文言を支持したという。

パプアニューギニアのオニール首相は世界貿易機関WTO)改革の問題が意見相違の主な原因だったと説明。「米中だけ」が意見を異にしたわけではなく、WTO改革について「意見を表明したメンバーは他にもいた」と話した。同首相は正式なAPECの声明を後日、発表すると語った。



パプアニューギニアで開かれていたAPEC(=アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議は、史上初めて首脳宣言の発表が見送られる異例の事態となった。

APECで首脳宣言の採択が見送られるのは、1993年に第1回の会議が開かれて以来、初めてのこと。

議長国のパプアニューギニアが、代わりに議長声明を発表することになったが、参加国のカナダのトルドー首相は、具体的な国名こそ挙げなかったものの、アメリカと中国の対立が今回の事態を招いたと示唆した。

カナダ・トルドー首相「貿易の特定の分野について異なる見方があり、それが首脳宣言の採択を妨げた」

米中は、首脳会議の前から貿易問題や中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」などをめぐって批判の応酬を繰り広げ、主張に大きな隔たりがあった。

このため、ほかの参加国は難しい対応を迫られ、異例の首脳宣言の断念に追い込まれたものとみられる。

また、オーストラリアメディアなどは、パプアニューギアの外務・貿易相の執務室に、中国政府の関係者が強引に入り、首脳宣言の文言の変更を迫ったと伝えている。

中国側は「事実ではない」と否定しているが、首脳宣言をめぐり、水面下で激しいやりとりがあったことがうかがえる。

米中の首脳は、来週、アルゼンチンで行われるG20の場で、首脳会談を行う予定で、ここで問題終結に向けた議論ができるのかが注目される。



 【ポートモレスビー=大柳聡庸】パプアニューギニアで開かれていた日米中など21カ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議APEC)首脳会議は18日午後、首脳宣言を採択しないまま閉幕した。米中が通商問題で激しく対立し、それぞれの主張を盛り込むよう求め、調整がつかなかった。首脳宣言を出さないのは、1993年に首脳会議が開かれて以来、初めて。首脳宣言に代わり、議長国のパプアニューギニアが近く議長声明を公表する見通しだ。

 パプアニューギニアのオニール首相は閉幕後、首脳宣言断念の理由について米中を念頭に、「(反対したのは)部屋にいた二つの巨人だ」と話した。安倍晋三首相やペンス米副大統領らが首脳会議終了前に会場を後にしたことも合意形成を難しくしたとみられる。

 米国は中国による不公正な貿易を、中国は米国の保護主義的な政策をそれぞれ批判し、対立が激化した。

 米国は中国が外資規制などを通じて進出企業に技術移転を強要する不適切な慣行を問題視。国営企業への巨額補助金といった優遇措置も市場をゆがめていると強く批判した。通商筋によると、こうした不公正な貿易慣行に歯止めをかけるため、米国は世界貿易機関(WTO)改革を宣言に盛り込むよう要求した。

 これに対し中国は鉄鋼に高関税を課す輸入制限など米国の「自国第一主義」を非難。保護主義を牽制(けんせい)する強い文言を宣言の中に入れるよう求めたという。



 【ポートモレスビー=杉目真吾、池田慶太】パプアニューギニアの首都ポートモレスビーで開かれていたアジア太平洋経済協力会議APEC)の首脳会議が18日、閉幕した。米国と中国が、世界貿易機関WTO)改革や一国主義を巡る文言で対立し、議長国のパプアニューギニアは共同首脳宣言の採択を断念した。首脳宣言を採択できなかったのは、1993年の第1回首脳会議以来初めてとなる。

 今回のAPECを巡っては、首脳会議に先立って行われた閣僚会議でも、18日夜現在で声明を発表できていない。首脳会議で首脳宣言を出せないという異例の事態となったことで、アジア太平洋地域での自由貿易に基づく経済安定を目指すAPECの存在意義が問われることになりそうだ。

 パプアニューギニアのオニール首相は首脳会議閉幕後、記者団に対し、首脳宣言をとりまとめられなかったことを明らかにした上で、米中両国を名指しせず、「WTO改革を巡る2国間の対立が原因だ」と述べた。オニール氏は、首脳宣言の代わりに、議長権限で会議内容をまとめる議長声明を発表する。

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