【AFP=時事】(更新、写真追加)南アフリカ政府は15日、ジンバブエのロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領(93)が自宅軟禁下に置かれているとする声明を発表した。同日朝に南アのジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)大統領がムガベ氏と話した際に、ムガベ氏が自宅軟禁されていると示唆したものの、元気でいると語ったという。

【写真】皇居を訪れた際のジンバブエのムガベ大統領夫妻

 クーデターの可能性が観測されているジンバブエでは、軍が国家権限を掌握したとみられている。

 南ア政府の声明によると、すでにズマ大統領は南部アフリカ開発共同体(SADC)議長としてジンバブエに特使を派遣するという。

 ジンバブエの隣国である大国、南アフリカにはジンバブエからの移民が多数暮らしている。【翻訳編集】 AFPBB News


 【ヨハネスブルク小泉大士】アフリカ南部ジンバブエの首都ハラレで14日夜から15日未明、国軍兵士が国営放送局を占拠した。AFP通信などによると、市内各所に装甲車両が展開、複数の爆発音が聞かれた。世界最高齢の国家首脳であるムガベ大統領(93)が自身の後継問題で第1副大統領を解任したことに軍が反発し、事実上のクーデターに踏み切ったとみられる。

 国軍報道官がその後、テレビ放送で声明を読み上げ「大統領周辺の犯罪者」を標的とした行動だと説明した。市内のムガベ氏の自宅周辺で銃撃戦が起きたとの情報もあるが「大統領とその家族は安全だ」という。隣国・南アフリカのズマ大統領は15日に声明で、ムガベ氏と話したと述べ「自宅軟禁状態だが無事」と伝えられたと明かした。ズマ氏はまた、南ア国防相らをジンバブエに派遣し、ムガベ氏や国軍と事態収束に向け協議させる考えを示した。

 ロイター通信によると、ムガベ氏の妻グレース氏(52)に近いチョムボ財務相らが国軍に身柄を拘束された。ジンバブエの最大野党「民主変革運動(MDC)」は「平和的な民主主義への回帰」を求めている。ロイターによると、ムガベ氏の固い支持基盤である退役軍人組織の幹部が15日、ムガベ氏の退陣を支持。軍には追い風になりそうだ。

 ムガベ氏は6日、「不誠実な態度を取った」としてムナンガグワ第1副大統領(75)を突然解任。これに対し国軍のチウェンガ司令官は13日、記者会見し「粛清をやめなければ軍は介入せざるを得ない」と異例の声明を発表していた。

 現地からの情報によると、国会や政府庁舎がある市内中心部への幹線道路は国軍の装甲車両などによって封鎖され、各所に兵士が配置されている。人通りは少なく、国軍が占拠した放送局は独立前の解放闘争の歌を流している。

 市民のジェームズ・サカラさん(58)は「ムガベ大統領や妻はこの国を私物化していた」と批判し国軍の行動を歓迎。「待ち焦がれた変化の時がようやく訪れた」と話した。一方で治安悪化を心配する市民も多く、銀行には預金を引き出そうとする人々が行列を作っている。法律事務所勤務のアン・ニャシャヌさん(28)は「クーデターの情報は知っていたが、まさか兵士があちこちにいるとは」と不安げだった。

 ◇ムガベ長期政権--93歳の独裁者、妻後継模索に軍反発

 ムガベ大統領(93)は「独立の英雄」として支持を集めたが、今世紀に入ってから独裁色を強めて国際的な批判を浴びるなど長期政権の弊害が浮き彫りになっていた。妻に指導者の座を譲る動きを見せたことが引き金となり、ムガベ氏を支えてきた国軍がついに反旗を翻した格好だ。

 植民地解放闘争を率いたムガベ氏は1980年の独立時に首相、87年に大統領に就任。独立以来37年間実権を掌握してきた。当初は親欧米路線を堅持。農業や教育などに力を入れて指導者として高い評価を得たが、2000年以降は白人農地を強制収用して黒人農民に分配するなど拙速な土地改革が引き金となって欧米との関係が悪化。支援国からの援助が途絶え経済が崩壊した。一時は年2億%の超インフレに見舞われ、数百万人の国民が職を求めて近隣諸国に逃れた。

 08年の大統領選では、第1回投票で野党「民主変革運動(MDC)」のツァンギライ議長の得票がムガベ氏を上回ったが、大統領派が野党支持者らを襲撃し多数の死傷者が出て、ツァンギライ氏は決選投票からの撤退に追い込まれた。

 ムガベ氏自身は18年の大統領選での7選に意欲を示してきたが、高齢のため与党ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)内では後継者争いが激化。ムガベ氏の妻グレース氏(52)を推すグループとムナンガグワ前第1副大統領(75)派が対立していた。【ヨハネスブルク小泉大士】


 【ロンドン矢野純一】アフリカ南部ジンバブエでの政変を巡り、旧宗主国の英国は情報収集を急ぐと共に、15日、首都ハラレなどに滞在する英国人に対し、外出を控えて自宅待機するよう呼びかけた。英BBCなどは、刻々と変わるジンバブエの状況を速報で伝え、トップニュースで取り上げている。

 ジョンソン英外相は英BBCに対し「安定した政権移行が重要だ」として、暴力を伴った衝突を回避することを求めた。英外務省は、ジンバブエ情勢を「軍が通常とは異なる動きを見せており、政治状況が不安定化している」と指摘。在ジンバブエの英国人に対し、不測の事態に備えて自家用車の燃料を満タンにし、予備燃料も用意するよう呼びかけた。

 英国には、約12万人のジンバブエからの移民が暮らし、ムガベ政権から弾圧を受けた野党支持者なども多い。

 大統領選でムガベ氏と対決してきた野党候補の元アドバイザーで英国在住のマガイサ氏はブログで「ムガベ王朝の終焉(しゅうえん)だ」と明言。「野党側は近い将来行われる選挙に向けて準備を始める」と述べた。

 ジンバブエは1980年に英国から独立。独立運動を率い首相に就任したムガベ氏は当初、黒人と、英国系を中心とする白人との融和を訴え、英国からも評価された。

 しかし、白人の農地を接収し黒人農民に分配する土地改革などを巡り対立。英国は2002年に経済制裁を科し、大統領選挙のたびに不正があったとして非難してきた。人権を侵害し、民主化プロセスを無視したとして、08年にはムガベ氏に1994年に与えた「ナイト」の称号を剥奪した。

 【ことば】ジンバブエ

 人口約1600万人。最大民族はショナで、次いでヌデベレ。少数白人支配の「ローデシア」を経て、1980年4月に英国から独立した。ムガベ氏は白人政権に対するゲリラ闘争を率いた一人で独立の英雄。独立後しばらくは高い経済力を誇っていたが、政権の腐敗や白人農地を接収する土地改革を巡る欧米からの制裁などで経済は失速した。ジンバブエはショナ語で「石の家」という意味で、この地域に巨大な石像遺跡を残した中世のジンバブエ王国に由来する。


 アフリカ南部ジンバブエで15日、軍が首都ハラレにある国営放送局を占拠した。また、長期にわたって強権政治を続けるムガベ大統領は自宅で軟禁されているという。

 首都ハラレでは15日、軍が市内に展開し、国営放送局を占拠した。その後、軍は、「今回の行動は大統領周辺の犯罪者を標的としたもので、ムガベ大統領とその家族は無事だ」などと声明を出す一方、クーデターではないと主張している。

 また、イギリスのBBCなどは、ムガベ大統領が自宅で軟禁されていると伝えている。

 ジンバブエでは来年に大統領選挙が予定されているが、有力候補の第1副大統領は今月、突然解任され、ムガベ大統領の妻グレース氏が後継に浮上していた。

 BBCは、第1副大統領の解任に反発した軍が事実上の「クーデター」を起こしたと伝えていて、1980年の独立以来、権力を握り続けるムガベ大統領が退陣に追い込まれる可能性も出ている。


 【カイロ=佐藤貴生】英スカイニューズ(電子版)は15日、アフリカ南部ジンバブエで軍クーデターにより自宅に監禁されたムガベ大統領(93)の妻で、同氏の後継候補とされるグレース氏(52)がナミビアに逃亡したとの情報があると伝えた。

 一方で、グレース氏はムガベ氏とともに軍の監視下にあるとも伝えられており、情報が錯綜している。

 グレース氏は、豪奢な生活ぶりから、高級ブランドにちなんで「グッチ・グレース」などと呼ばれている。


 【ロンドン時事】アフリカ南部ジンバブエで15日未明(日本時間同日午前)、首都ハラレの国営放送局が兵士らに占拠された。

 首都の政府施設や議会、裁判所も軍によって封鎖され、クーデターの可能性がある。ムガベ大統領(93)は隣国南アフリカのズマ大統領に電話で、自宅軟禁下に置かれたようだと説明した。国軍将校はテレビを通じて声明を出し、大統領周辺の「犯罪者」を標的に行動を起こしたとし、「任務が完了し次第、状況は正常に戻るだろう」と強調した。

 国軍は声明で「政府を軍が乗っ取ったのではない」と述べた。大統領とその家族は無事だという。ただ、ジンバブエでは先週、大統領がムナンガグワ副大統領(75)を突然解任。副大統領に近い国軍のチウェンガ司令官(61)が大統領を公然と批判するなどして不穏な空気が漂っていた。

 現地からの報道では、首都の主要道路には軍の装甲車両が展開。AFP通信は15日、首都郊外の大統領邸近くに住む住民が「午前2時すぎ、30~40発の銃声が聞こえた。3~4分続いた」と話したと報じた。「爆発音が聞こえた」という証言もある。

 英外務省や在ハラレ米大使館はそれぞれ自国民向けに声明を出し、安全な場所を離れないよう指示した。ジョンソン英外相は「状況がどのように展開するか不明だ」と懸念を示した。