安倍首相は訪問先のフィリピンで、中国の李克強首相と会談し、関係改善に向けて緊密に連携していくことを確認した。

 安倍首相「両国はさらなる改善に向けて力強い動きがあるのは事実で、共に努力をしていきたい」

 冒頭から関係改善を加速させたい考えを示した両首脳。北朝鮮対応では国連安保理決議の完全な履行を含め連携を深めていくことを確認したほか、日中韓サミットの早期開催でも一致した。

 安倍首相は11日、習近平国家主席と会談したばかりで中国首脳との連続会談は異例だが、外交筋は「日中首脳(会談)2連チャンの意味は重い」「日中関係を少しでも進めたいという双方の意思の表れだ」と話す。

 日本政府は中国が歩み寄りを見せている今こそが関係改善に弾みをつけるチャンスととらえていて、政権幹部は「今回の外遊に照準をあわせていた」とも話している。

 異例の連続会談を経て関係改善に弾みをつけ、北朝鮮包囲網の強化に向けた中国の協力を引き出したい考え。

 また安倍首相は、ASEAN(=東南アジア諸国連合)の首脳とも話し合い、北朝鮮に対する圧力を最大限まで高める必要性を訴えた。どこまで国際社会の北朝鮮包囲網を強化できるのか、地道な外交が続く。


 安倍総理と相次いで会談した中国のナンバー1とナンバー2、その表情に注目です。

 日本時間の午後7時すぎから行われた安倍総理と中国の李克強首相との首脳会談。

 「最近、中日関係には積極的な変化が表れています」(中国 李克強首相)

 冒頭、李首相は日本が両国の関係改善のために積極的に行動しているとしたうえで、我々も歩み寄っていきたいと述べました。

 「今後、李克強首相と力を合わせて両国関係を発展させていきたいと考えています」(安倍首相)

 この会談に先立ち、安倍総理は習近平国家主席と会談しています。注目は2人の表情。お互いにほほえみを浮かべています。実はこの映像、あの習主席が笑ったと、一部で驚きをもって受け止められています。

 3年前の11月、2人が初めて会談した際の映像では笑顔はなく、特に習主席は無愛想に見えます。安倍総理が何かを話しかけても応じませんでした。今年7月に行われた会談の際も、習主席が総理と目を合わせることはほとんどありませんでした。2人はこれまで6回、首脳会談を行っていますが、冒頭の写真撮影はいつもこんな様子。

 ところが、今回は明らかに雰囲気が違いました。安倍総理も手応えがあったようです。

 「習主席からは今回の会談は『日中関係の新たなスタートとなる会談であった』と。私も全く同感でありました」(安倍首相)

 日本との関係改善に前向きになったとみられる中国側の一連の動き。背景には何があるのでしょうか。(13日23:21)


 マニラを訪問している安倍晋三首相は13日、ベトナムでの中国の習近平国家主席との会談に続き、李克強首相と会談した。国際会議の場を利用し、国家主席、首相と相次いで会談するのは極めて異例で、関係改善に向けた意欲を裏付けている。北朝鮮の非核化に向けた協力が進む可能性はあるが、両国間には課題が山積しており、急な進展は見込めないのが実情だ。

 菅義偉官房長官は13日の記者会見で「懸案を適切に処理し、全面的な関係改善を中国側とともに進めていきたい」と強調した。

 ただ、東シナ海の緊張は続いている。中国は2013年、戦闘機の緊急発進の目安となる防空識別圏を、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海上空に設定し、中国公船の領海侵入も常態化させた。昨年6月には、尖閣周辺の接続水域に初めて軍艦を航行させた。偶発的な軍事衝突を避ける「海空連絡メカニズム」の運用に向けた協議も合意に至っていない。

 東シナ海の日中中間線付近で中国が行うガス田開発の問題も解決のめどは立っていない。日中は08年に共同資源探査で合意し、条約締結交渉を進めていたが、10年の中国漁船衝突事件を受けて中断。中国側は、周辺海域でガス田関連施設を稼働させている。

 中国当局がスパイ行為をしたとして日本人を相次いで拘束した問題も未解決。日本人男女8人は現在も拘束されたままだ。

 外務省幹部は「ふとしたきっかけで日中関係は時計が逆戻りしかねない」と指摘する一方、「いがみ合っても何も進まない。双方の権力基盤が強固になった今こそ好機だ」と語る。【加藤明子、マニラ朝日弘行】


 【マニラ朝日弘行】安倍晋三首相は13日夕(日本時間同日夜)、マニラで中国の李克強首相と会談した。両首脳は来年が日中平和友好条約締結40周年に当たることを踏まえ、日中関係の改善を進めることで一致。東京での日中韓3カ国による首脳会談の早期開催に向け調整することを確認した。

 外務省幹部は13日夜、日中韓首脳会談の開催時期について、日程上の都合から、日本政府が目指してきた年内から、年明けにずれ込む公算が大きいとの見通しを示した。

 李氏は会談の冒頭、「双方がともに努力して、中日関係の改善の勢いを一緒に強固なものにしていかなければならない」と指摘。安倍首相は「日中平和友好条約締結40周年を見据え、戦略的互恵関係の発展、関係改善を力強く進めていきたい」と応じた。

 両首相は、「朝鮮半島の非核化は日中共通の目標である」との認識で一致。安倍首相は、国連安全保障理事会の制裁決議の履行に関し中国の協力姿勢を評価し、連携を強めることを確認した。また、「中国の役割は極めて重要だ。さらなる建設的な役割を果たしてほしい」と求めた。

 一方、東・南シナ海問題を念頭に、安倍首相は「いかなる地域でも法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序が重要だ」と指摘した。

 両首相は、日中の経済交流の拡大についても協議し、第三国でのビジネス展開で協力する方針で一致した。東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の早期妥結に向け協力することも確認した。

 安倍首相が李氏と会談するのは昨年7月のモンゴル以来で3回目。日中韓首脳会談は3カ国が持ち回りで開催しており、前回は2015年11月に約3年半ぶりにソウルで開催された。この際、定例化と翌16年の日本開催で合意していたが調整は難航。実現すれば李首相と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は就任後初めての訪日となる。