春休みシーズンに突入した昨今だが、この時期に公開される映画はスタートダッシュを決めて話題になれば、ゴールデンウィークまで客足を引っ張れるといった思惑もあり、例年注目作が続々と公開される。

 そんな中、近年の観客動員や興行収入の上位ランキングを見てみると、アニメや人気小説、コミックの実写化、特に若い世代向けの恋愛映画の存在が目立つ。

 今年も3月下旬だけでも、女子高生の"初恋のバイブル"と呼ばれているやまもり三香の人気コミックを実写映画化した『ひるなかの流星』や、三次マキ原作の人気コミックを実写化した『PとJK』、4月には『ReLIFE リライフ』の公開も控えている。

 そのほかにも、恋愛一辺倒ではないが、『ハルチカ』、『きょうのキラ君』、『一週間フレンズ』なども最近公開されている。

リスクの低さがウリ!? "製作委員会方式"の影響も

 人気コミックの実写映画化は近年のトレンドとなっているが、中でも若い世代に向けた恋愛ストーリーを題材にした原作を実写化した作品が非常に多い。

 その要因を映画雑誌の編集者は語る。

 「一言でいえば"打率"が良いということに尽きますね。そもそも、人気コミックや小説の実写化は、オリジナルより知名度という点でスタートラインが違う。原作ファンの間で賛否両論はありますが、最近だと『ジョジョの奇妙な冒険』なんかを見ても、実写化というだけであれだけ話題になるわけです」

 さらにこう続ける。

「『ジョジョの奇妙な冒険』や『進撃の巨人』のように世界観が非日常的で、製作に予算がかかりそうな少年コミック系よりは、日常の恋愛などを描いた少女コミックを題材にした方がコストも安く、リスクも低い。日本映画の主流になっている、いわゆる"製作委員会方式"では、ハイリスクハイリターンの作品よりも、しっかりと回収できる題材に食指が動くというわけです」

はじめにお金になるイケメンありき!?

 こうした側面もあり、製作サイドも題材として取り上げやすい少女漫画の実写化。その一方で、中高生など若い世代向けの青春恋愛ストーリーでは、同じ俳優、女優がキャスティングされるケースも多い。

 「少女漫画や、それに類似するコミックの実写映画というのは、基本的にターゲットとしているのは若い女性たちです。つまり、男性キャストは非常に重要で、単にイケメンというだけではなく、お金を払って観に来てくれるファンをどれだけ持っているかが、キャスティングするうえでカギとなる。その意味では、ジャニーズタレントは昔から強いですし、最近だと山崎賢人さん、福士蒼汰さん、LDH所属の『三代目 J Soul Brothers』や『GENERATIONS』のメンバーなどは熱狂的なファンが多く、観客動員の面で期待できます。ファンの中には何度も劇場に足を運び、お金を落としてくれる人もいますからね」(映画プロデューサー)

 確かに、上記の俳優たちは、いわゆる少女コミック系の実写化作品への出演は多い。

 とくに山崎は、2014~2017年の間に、『L・DK』、『ヒロイン失格』、『orange』、『オオカミ少女と黒王子』、『四月は君の嘘』、『一週間フレンズ』と立て続けに少女コミックや、それに類似するコミック(※『四月は君の嘘』は月刊少年マガジン掲載、『一週間フレンズ』は月刊ガンガンJOKER掲載)への出演が続いた。

ヒロインには清潔感と親しみやすさ重視

 またそんな男性キャストの相手役となるヒロインにも特徴があるという。

「ターゲットが女性であるため、色気がある小悪魔タイプよりも、清潔感と親しみやすさが重視されます。代表的なのが土屋太鳳さんでしょう。彼女はデビュー当初こそ、やや癖のある役柄で存在感を発揮していましたが、朝ドラの『まれ』に出演以降、自身が体育会系ということもあり、爽やかで健気というイメージが定着しつつある。少女漫画のヒロインとしては打ってつけなのではないでしょうか」(同映画プロデューサー)

 実際、土屋は15年公開の『orange』、16年公開の『青空エール』、今年3月公開の『PとJK』、今秋公開予定の『兄に愛されすぎて困ってます』と少女漫画が原作の実写映画に引っ張りだこの状況だ。

 邦画のヒットの目安として、興行収入10億円というラインが設けられているが、福士が主演を務めた『好きっていいなよ。』(約11億)、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(約18億)、『ストロボ・エッジ』(約23億)、山崎が出演している『オオカミ少女と黒王子』(約12億)、『ヒロイン失格』(約24億)、『orange』(約32億)、『四月は君の嘘』(約14億)、「三代目 JSB」の岩田剛典が主演を務めた『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(約22億)と、軒並み大ヒットを記録している。

 似たような俳優による似たようなストーリーという"既視感"が叫ばれる少女漫画を原作にした実写映画だが、これまでの作品の興行収入、そして"理にかなった製作過程"を鑑みると、こうした傾向は今後もしばらく続きそうだ。

(文責/JAPAN芸能カルチャー研究所)

※山崎賢人さんの「崎」はつくりが「立」ですが、システム環境により「崎」で表示されています。