27日午前9時20分ごろ、栃木県那須町湯本の那須温泉ファミリースキー場で、雪崩が発生したと110番があった。地元消防に現場から入った連絡などによると、県内7高校が登山講習会に参加しており、高校生6人が心肺停止の状態で見つかったほか、4人が行方不明、8人が負傷しているという。雪崩は同スキー場の第2ゲレンデ付近で発生したとみられる。気象庁は積雪面の上に新雪が降ったことによる「表層雪崩」の可能性が高まったとして雪崩注意報を発令していた。

【付近のライブカメラの画像】

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 気象庁によると、雪崩には古い積雪面の上に新たに降り積もった雪が滑り落ちる「表層なだれ」と、積雪全体が滑り落ちる「全層なだれ」がある。

 今回は日中に気温が上がる一方、深夜から早朝にかけて気温が下がった影響で、積雪面が氷状に変化。その上に新雪が降ったことで、滑りやすくなったとみられる。

 日本山岳協会専務理事、尾形好雄さん(69)も、前日から降雪が続いていたことに着目。「すでに固まっている雪の上に新しい雪が降ると、新雪がうまくなじまず、弱い層となってしまう」と同様の指摘をする。「降り固まった雪と新雪の間に力が加われば、ショックで新雪が表層で雪崩を起こす」と話す。

 尾形さんも20代のころ、3月にこうした雪崩に巻き込まれたことがあり「新雪が降ったら、古い雪となじんでいるかをチェックするのが基本だ」と語る。

 栃木県内の山岳情報に詳しく、山岳ガイドの経験もある県勤労者山岳連盟の池谷友夫副会長(63)は「この時期の雪は湿気があり、3月になって比較的、温かくなっているため雪崩の危険性が高まる。一気に降雪があると、何らかのきっかけで亀裂が走って雪崩を誘発する可能性がある」と指摘した。


 栃木県那須町のスキー場で27日、雪崩が発生し複数の高校生が巻き込まれた事故。

 現場となったスキー場では懸命の捜索が続けられ、担当者らは「詳しいことは分からない」と繰り返した。生徒の無事を願う男性教諭は「これまで大きな事故はなかったのに」と祈るように話していた。

 雪崩が起きた那須温泉ファミリースキー場の担当者は「現在捜索中」「まだ何も分かっていない」と息を切らせながら繰り返した。運営会社側も「雪崩の一報があったのは事実。情報収集をしているところで、詳しいことは分からない」と話した。那須町によると、同日午前9時半ごろに一報が入り、スキー場に現地対策本部を設置した。

 生徒6人が心肺停止状態となった栃木県立大田原高校(大田原市)は登山部の1、2年生12人と引率の男性教諭2人が春山登山講習に参加していた。生徒が雪崩に巻き込まれたとの情報があるだけで詳しい状況は分からず、スキー場に職員を向かわせたという。取材に応じた男性教諭は「毎年の恒例行事で、これまで大きな事故はなかったのに。大変驚いている」と言葉少なに話した。

 県立真岡高校(真岡市)からも山岳部の1、2年生の男子生徒9人が参加。教頭によると、「現地で引率している教諭が捜索に加わっているため連絡が取れていない」。他校を通じて生徒全員の無事の連絡があったという。 


 栃木県那須町にある気象庁の観測点では、27日午前1時ごろには積雪がほぼなかったが、その後大雪となり、同9時に33センチを観測した。

 
 気象庁は栃木県を対象とする大雪気象情報を25日夕方から27日朝までに計4回発表し、傾斜地では雪崩に注意するよう呼び掛けた。宇都宮地方気象台は26日午前10時半すぎ、那須町に大雪と雪崩、着雪の注意報を発表していた。

 大雪は、関東の南海上で低気圧が発達しながら北東へ進む一方、関東の上空に寒気が流れ込んだのが原因という。 


 菅官房長官は27日午前の記者会見で、栃木県那須町のスキー場で起きた雪崩について「被害状況の把握に全力で取り組み、救助にも総力をあげている」と述べ、被災者の救命・救助を最優先に取り組む考えを示した。

 政府は雪崩を受け、同午前11時50分、首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置した。