少女マンガを原作とする映画のヒットが、「劇場の予想を上回る」(イオンエンターテイメント)形で続いている。2015年12月公開の『orange‐オレンジ‐』が、3月時点で興行収入32億円を突破。2月末公開の『黒崎くんの言いなりになんてならない』も、公開3週で興収9億円超をたたき出した。なぜ今、このジャンルが熱いのか。


 この流れを加速させたのが、2014年末、2015年3月と連続公開された『アオハライド』『ストロボ・エッジ』だ。どちらも原作は、集英社『別冊マーガレット』の人気マンガ家・咲坂伊緒によるもの。20億円超の『ストロボ~』は、月9初主演を果たした福士蒼汰と有村架純のコンビに、名匠・廣木隆一監督の深みのある映像が観客の中心層であるティーンの心を捉えた。次いで、9月公開の『ヒロイン失格』が、ヒロイン1人に対して2人の男子という構造と、コミカル路線がウケて24億円超え。「少女マンガ原作映画」ジャンルの人気を決定的なものとした。

 5月28日には、「ヒット間違いなし」と映画関係者が口をそろえる『オオカミ少女と黒王子』(ワーナー配給)が公開となる。『オオカミ少女~』の松橋真三プロデューサーは、ブームの背景には、「観客の中心となるティーン層の女子が元気」な点にあると言う。「5~6年前のティーンはお金を使いませんでしたが、今の子たちは母親がバブル時代を謳歌しており、その影響からモノを買い、劇場にも詰めかけてくれます」(松橋氏、以下同)

 そこへ登場したのが、福士蒼汰、山崎賢人といった、「絶対的な支持を集める若手男優の存在」だ。

山崎賢人さんは、今最もティーンから崇拝される存在。2015年7月期の連ドラ『デスノート』で一気に知名度を上げ、それが、直後に公開された『ヒロイン失格』『orange‐オレンジ‐』の興収を押し上げました」 

 『オオカミ少女~』も、まず山崎ありきで企画を固め、ヒロインには、文句なしの実力派で意外性もあった二階堂ふみを配した。 

 そして、大事なのはやはり監督。

「ティーンにとって重要なのは、『自分たちに向けられた作品であるか』どうか。制服姿で青春を謳歌し、生まれて初めて本気で人を好きになる──普遍的な物語をどんな角度で斬るかがカギとなってくる」

 『オオカミ~』では、『ストロボ・エッジ』の廣木隆一を起用。

 「廣木監督は、『余命1ヶ月の花嫁』の大ヒットはもちろん、ジャンルの幅が広く、映画とは何かが分かっている方。『ストロボ~』もカメラワークや演出が話題となりました。SNSですぐに評判が広がるなか、エンタテインメントのヒットの形が正しい姿に戻ってきており、テレビドラマの延長線上だけではない映画ならではの作りが口コミとなり、ヒットにつながっているのでは。『オオカミ~』も、台本のナレーションを外して観客がヒロインの目線で楽しめる体験型にするなど、独自性を打ち出しています」(松橋氏)

 3月以降、スポ根要素を持つ『ちはやふる』、少年マンガながら絵柄が繊細で女性ファンも多い『四月は君の嘘』などの公開が相次いだ。山崎は3作品が待機。廣木をはじめ、三木孝浩、新城毅彦らヒットメーカーが監督に名を連ねている。

 スターの登場と実力派監督による多彩なラインアップで映画界を席巻する「少女マンガ原作映画」。その動向は、まだまだ目が離せないものとなりそうだ。