遺族絶句の判決

「被告から何の謝罪もなく、怒りで震えている」。火災で犠牲になった高山さん母子3人の遺族は29日、鹿児島簡裁判決を傍聴後、憤りをあらわにした。

【大きな写真で見る】

判決は、勾留日数1日につき5千円を罰金50万円から差し引くとした。193日間勾留されていた浜屋敷被告が実際に支払う金額はゼロになる。高山さんの弟(44)は「4人の命が失われたのに、罰金も(実際は)払わなくていいとは…」と絶句した。

放火なら死刑も 失火なら50万円以下罰金

鹿児島県警は当初、現住建造物等放火容疑で浜屋敷被告を逮捕。県警によると、被告は「火を消さずにぼうっと見ていた」と話していたといい、容易に消火できる段階でしなかったことが「不作為の放火」に当たるとの判断だった。

だが、検察側は「放火で立件できるだけの証拠がない」と失火と過失致死罪を適用。有罪の場合、放火なら死刑か5年以上の懲役刑だが、失火と過失致死はいずれも50万円以下の罰金刑のみだ。

「何十、何百の人が亡くならないと法律は変わらないのか」

「失火罪に罰金刑しかないのがおかしい」。高山さんの元夫で亡くなった娘2人の父親(46)は声を震わせた。「何十、何百の人が亡くならないと法律は変わらないのか。悔しい」

高山さんの弟は起訴後、失火罪の厳罰化などを求める署名活動に取り組み、1万7822人分が集まっている。「最初は放火罪が適用されないことにただ憤っていた。今は、飲酒運転による交通事故(の厳罰化)のように、遺族の声で法律を変えたい」。署名をまず民事訴訟で活用し、量刑の在り方に疑問の声を上げていく。

=2015/06/30付 西日本新聞朝刊=