川崎市川崎区の多摩川河川敷で同区の中学1年、上村(うえむら)遼太さん(13)が遺体で見つかった事件で、殺人容疑で逮捕された少年3人のうち、17歳の少年の1人が「18歳の少年が上村さんを刺した」と供述していることが28日、捜査関係者への取材で分かった。18歳の少年は「今は話さない」と供述している。神奈川県警川崎署捜査本部は3人の供述を突き合わせ、慎重に裏付けを進めている。

 捜査関係者によると、3人は否認している。無職の17歳の少年は「現場で上村さんが血を流して倒れているのを見た」と説明している。職業不詳の17歳の少年は「現場近くにいたが、現場に向かったのは(逮捕された)18歳と17歳の少年、上村さんの3人で、何があったか俺は知らない」と供述しているという。

 一方、18歳の少年が事件前、酒に酔って「人を殺したい」などと周囲に話していたことが、上村さんや少年らを知る友人女性の証言で分かった。

 別の友人男性による証言では、上村さんが1月、18歳の少年から「生意気だ」と因縁を付けられ、正座で激しい暴行を受けていたことも判明。上村さんはこれを機に、18歳の少年がリーダー格のグループから「抜けたい」と漏らすようになり、別の先輩らに相談、18歳の少年が上村さんを恨み始めたという。捜査本部は少年が怒りを募らせていた可能性があるとみている。

 捜査本部は28日、3人を送検し、それぞれの自宅を家宅捜索した。スマートフォンなどを押収しており、今後は無料通信アプリ「LINE(ライン)」でのやり取りなどを詳しく分析する方針。


 商店街に沿うように古くからの住宅が立ち並び、それを取り囲むように新しいマンションも広がる。殺害された川崎市の市立中学1年の上村(うえむら)遼太さん(13)はそんな街にある築30年ほどの中規模マンションに、母親やきょうだいたちと暮らしていた。一昨年の夏、島根県の離島・西ノ島から川崎市内に引っ越してきた。

 マンションの完成当時から住む女性(71)は一家について「住んでいたことも知らなかった」。昔は、引っ越して来たら全ての世帯にあいさつして回ったが、そんな習慣もなくなった。

 それまで暮らしていた島の人口は約3千人。島民は上村さんについて、「人気者でムードメーカーだった」「いつも笑顔で元気だった」と口をそろえる。

 当時を知る人たちによると、上村さんの両親は数年前に離婚。母親が子ども5人を引き取り、島内で働きながら生活を支えていた。近所に住んでいた女性は、きょうだいの面倒をみていた次男の上村さんが、おむつ姿で外に出てしまった弟に「危ないけん、おうちに入ろう」と声をかけ、優しく手を引いていたのを覚えているという。

 小学6年の1学期が終わると、一家は島を出て、母親の実家がある人口約146万人の川崎市で暮らし始めた。近所の人らによると、上村さんの母親は医療・福祉関係の仕事をしていて、上村さんの妹の通う小学校の授業参観やPTA活動では見かけたことがないという。

 昨年の春に中学校に入った上村さんは、部活動のバスケットボールに打ち込んでいたが、秋以降は別の中学や高校の生徒らとつきあい始め、今年1月からは学校に行かなくなった。

 上村さんと小学校で同級だった女子生徒(13)は1月、近所の公園で家族といたとき、上村さんと偶然出会った。年上とみられる4、5人と一緒だった。「僕と知り合いじゃないふりをして」。上村さんは仲間の目を盗んでこう告げ、輪に戻った。生徒は母親から「川崎で有名なヤンキーだよ」と聞かされたという。

 数日後、近所のコンビニで再び上村さんに会った。「あんな人たちとつるむのやめなよ」「抜けられない。(僕と)知り合いだと分かると目をつけられるよ。お前、いじめられやすいから」。正義感が強かった小学生時代の上村さんを思い出し、生徒は背中を見送ったという。


 川崎市川崎区の玉川河川敷で中学1年の上村(うえむら)遼太君(13)の遺体が見つかった事件は、発生から1週間が経ち、未成年の少年3人が逮捕された。

 集団でよってたかって暴行し、複数の刃物で首を切りつける──イスラム教スンニ派過激組織「ISIL」が公開した処刑映像をも想起させる残忍な手口に社会は大きな衝撃を受けた。

 ショッキングな事件の全容を伝えようと、事件が起きた東京湾岸の街には連日、マスコミが大挙して押し寄せている。

「上村君に手をかけた疑いが持たれている犯行グループは、地元の高校生や中学生の集まり。犯罪の残忍さに加えて少年犯罪の可能性が濃厚なだけに、世間の関心が集まっている」(取材に訪れた全国紙社会部記者)

地元では有名な自殺スポット

 フライデー3月13日号(講談社)も、「緊急特集」と銘打ち、事件を詳報した。

 同誌によれば、神奈川県警が事件との関連が疑われる集団について注視しているのは「8人の不良グループ」。そのリーダー格とされる高校生は、

「オヤジを鉄パイプでボコボコにしてやった」

 などと周囲に吹聴するワルだったという。

 凶暴な不良少年たちによる暴走。マスコミの報道からは、そんな構図が浮かび上がってくるが、古くから住む地元住民は事件について意外な反応を示した。

「正直、それほどの驚きはないですよ。少年同士のトラブルから起きたリンチ殺人。ここら辺りでは、そんな血生臭い事件も珍しい話じゃない」

 関東有数の工業地帯として知られる川崎。

 近年は、都内のオフィス街へと通うビジネスマンのベッドタウンとしての機能も持つようになって久しい。だが、現場周辺を歩くと、普段は見ることのない街の裏の〝顔〟が次々と露わになってきた。

「上村君の遺体が見つかった多摩川河川敷は、今でこそ開発が進んで大きな高層マンションが立ち並ぶようになっていますが、かつては簡素なバラック小屋やホームレスの住処に占拠されていた。上村君の衣服が燃やされたトイレがある公園周辺には、在日外国人の集落やヤクザの事務所も点在していた。お世辞にも治安がいいとは呼べないような環境だ」(先の住民)

 上村君が事件との関連が取り沙汰されている不良グループと接点を持つキッカケを作った公園も、不穏な空気に包まれていた。

 公園で犬の散歩中だった男性は、

「ここらへんの悪い連中のたまり場になっていた。それに地元では自殺スポットとしても知られていた。僕自身も、早朝に公園を歩いていたら、金網にロープをかけて首を吊っている遺体を発見したことがある」

 と明かした。

 現場からほど近い京急八丁畷駅付近には、「日進町」という簡易宿泊所が建ち並ぶ「ドヤ街」もある。狭い区画の中で、素性のはっきりしない者たちが集い、肩寄せ合ってか細い営みを続けているのだ。

 オウム事件の「最後の指名手配犯」だった高橋克也が17年にわたって潜伏生活を続けたのも、この川崎だった。

 未来ある少年の命が奪われた今回の事件も、街の裏面史に深く刻み込まれることだろう。

(取材・文/浅間三蔵)



神奈川・川崎市の多摩川河川敷で、中学1年の男子生徒が殺害された事件で、逮捕された主犯格の18歳の少年が、上村遼太さん(13)と事件前日の夜に会った際、上村さんのスマートフォンを取り上げていたことが、17歳の少年の供述から明らかになった。


殺人の疑いで逮捕された主犯格の18歳の少年ら3人は、20日未明、川崎市の多摩川河川敷で、上村遼太さんを殺害した疑いが持たれていて、28日に送検された。


事件以降、上村さんが使っていたスマホは、現場付近や自宅などから発見されていないが、その後の捜査関係者への取材で、18歳の少年が、事件前日の夜に上村さんと会った際、上村さんのスマホを取り上げていたと、17歳の少年が話していることが新たにわかった。


主犯格の少年が、上村さんが亡くなっていることを隠す意図で操作した可能性もあり、警察は今後、慎重に話を聴く方針。


また、17歳の少年は、警察の調べに対し、「18歳の少年が刃物で首を切ったのを見た」と話していて、遺体が見つかった翌日、無料通話アプリ「LINE」に、「俺のせいだよ!!」、「本当にごめんな(泣)」などと書き込んでいたことがわかった。



神奈川・川崎市の多摩川河川敷で、中学1年生の上村遼太さん(13)が殺害され、少年3人が逮捕された事件で、主犯格の少年を含む、少年3人は、依然として容疑を否認している。


事件以降、現場付近や、上村さんの自宅などから発見されていない上村さんのスマートフォンについて、その後の捜査関係者への取材で、主犯格の18歳の少年が、事件前日の夜に上村さんと会った際、上村さんのスマホを取り上げていたことが新たにわかった。


上村さんのスマホから、小学校時代の同級生に対し、上村さんが死亡した時刻の前後に、LINEの友達申請をするメッセージが送られるなどしていたが、これは、容疑者の少年が、上村さんが亡くなっていることを隠す意図で操作した可能性もあり、警察は今後、主犯格の少年から、慎重に話を聴く方針。


捜査関係者によると、少年3人は、上村さんと合流する直前、17歳の少年宅などで、酒を飲んでいたとみていて、警察は、どの程度の量を飲んだのか、事件に、どの程度影響したかなどについて調べている。