愛知県長久手町で07年、拳銃を所持して自宅に立てこもり、県警特殊部隊(SAT)隊員ら4人を死傷させたとして殺人罪などに問われた会社役員、大林久人被告(54)の上告審で、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は22日付で、検察側と被告側双方の上告を棄却する決定を出した。無期懲役とした1、2審判決が確定する。

 検察側は死刑を求めていたが小法廷は「綿密な計画性は認められず、被害者や遺族に謝罪の態度を示している」と指摘。減刑を求めた弁護側の主張も「上告理由に当たらない」として退けた。

 1、2審判決によると大林被告は07年5月、元妻に拳銃を見せて復縁を迫り、駆け付けた男性警察官の首を撃って重傷を負わせた。長男と次女にも発砲してけがをさせ、元妻らを救出するために自宅前の路上にいたSATの男性隊員・林一歩(かずほ)警部=2階級昇進=(当時23歳)を射殺した。【伊藤一郎】



 判決によると、大林被告は07年5月17日から18日にかけ、長久手町の自宅に元妻(52)を人質に立てこもり、県警愛知署の木本明史巡査部長(56)や被告の長男(27)、次女(23)に発砲し重傷を負わせ、県警特殊部隊(SAT)の林一歩警部=当時(23)=を銃撃し、殺害した。
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元暴力団員・大林久人被告(54)

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【事件発生から犯人逮捕までの時系列】

 17日15・47 愛知県長久手町の民家から「父が拳銃を持ち出して立てこもっている」と110番通報。

 15・49 「父は落ち着いた。警察が来たら興奮するかもしれない。来ないでください。拳銃はおもちゃです」と110番通報。

 16時ごろ 近くの住民が「撃つなら撃ってみろ」という声の後、3発ずつ2回に分け発砲音を聞く。

 16・10 「3発発砲」と現場署員から連絡。

 16・14 県警愛知署から「拳銃で撃たれて負傷者がいる」と119番通報。駆けつけた警察官の1人、同署長久手交番の木本明史巡査部長と、立てこもった大林久人容疑者の長男の健人さんと次女里紗さんが負傷。

 16・39 兄妹を愛知医科大病院に収容。健人さんは腹、里紗さんは脚を撃たれけが。

 17・30 町役場に「たてこもり緊急対策本部」を設置。

 21・17 盾を持った捜査員らが現場に接近。

 21・23 「パーン」という音が響く。木本巡査部長を救出。その際、機動隊の林一歩巡査部長が胸を撃たれ病院に搬送される。

 21・35 現場付近で再び「パーン」という音。

 18日0・14 林巡査部長の死亡を確認。

 6・00 長久手町立南中学校に校長らが出勤。現場近くの小中学校、大学は授業再開の見通し立たず。

 7・30 帰宅困難者一時開放所に指定された町杁ケ池体育館から一時宿泊者12人全員が出勤・通学や自宅付近の様子を見に出かける。

 8・30 長久手町役場が「たてこもり緊急対策本部」の会議を開催。

 8・53 人質の女性は次女里紗さんの母親の森三智子さんと発表。

 11・00 町役場の対策本部が18日は小中学校休校と決める。愛知学院大、名古屋外国語大も終日休講を決める。

 14・51 森三智子さんが自力で住宅の外へ出てきて、警察官が保護。森さんは、フリース地の迷彩模様のパーカを着ていて、左目上に殴られたようなあとがある。

 16時ごろ 同署で名前などの聴取後、森さんを救急車で病院へ搬送。

 19時ごろ 現場付近で雨が降り始める。

 20・30ごろ 大林容疑者が自宅の外へ出てくる。手に透明な液体が入ったペットボトルや携帯電話を持つ。機動隊員が説得を続ける。

 20・48 機動隊員が大林容疑者を取り囲み、殺人未遂容疑で緊急逮捕。



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射殺されたSAT隊員・林一歩警部(23)

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救出され病院に搬送される愛知県警・木本明史巡査部長(56)

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