三重県朝日町の空き地で10代とみられる女性の遺体が見つかった事件で、三重県警は30日、遺体は25日から行方不明になっていた同県四日市市の中学3年、寺輪博美さん(15)と特定した。遺体の周辺で寺輪さんの服やかばん、財布、スマートフォン、サンダルを発見。財布に入っていたとみられる数千円から1万円程度の現金がなくなっており、県警は強盗殺人、死体遺棄事件と断定し、四日市北署に捜査本部を設置した。

 捜査本部によると、司法解剖の結果、寺輪さんの死因は窒息死で、死亡推定時刻は25日深夜。遺体に首を絞められたような痕や目立った外傷、遺体を動かしたような痕跡はなく、寺輪さんは抵抗できない状態のまま、空き地で手や布のようなもので口をふさがれて殺害され、そのまま放置された可能性がある。

 また25日午後10時55分ごろ、寺輪さんがスマートフォンから無料通信アプリ「LINE(ライン)」で同級生の女子生徒とやりとりをしていたことも、新たに判明した。

 これを最後に寺輪さんの足取りが途絶えており、寺輪さんが最後にLINEを利用したのは遺棄現場付近とみられる。

 捜査本部は、寺輪さんが徒歩で帰宅中、現場付近で短時間のうちに何者かに襲われたとみて、空き地周辺で不審な物音や争う声などを聞いた住民がいないか聞き込み捜査をしている。




 三重県朝日町で同県四日市市の中学3年、寺輪博美さん(15)が何者かに殺害された強盗殺人、死体遺棄事件で、寺輪さんの級友らに悲しみが広がっている。クラスのまとめ役だった寺輪さんは、ふさぎ込んだ友人がいれば声をかけ、ことあるごとに「何でも相談してね」と呼びかけたりしていた。誰がなぜ、寺輪さんを手にかけたのか。三重県警の捜査本部は31日も、周辺で遺留品の捜索や鑑識活動を続ける。

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 「あのとき、あんなことを言わなければよかった」。寺輪さんのクラスメートの男子生徒(15)は、7月の終業式の日、寺輪さんと交わした最後の会話が忘れられないという。

 「つまらないことでイライラしていた」という男子生徒はその日、寺輪さんに八つ当たりしてしまった。

 しかし、寺輪さんは「どしたんよー? 話してみー?」と笑顔で返したという。

 それ以上は話せなかったが、「わざとちゃかして話しやすいようにしてくれたんだと思う。いつもそんな調子で、寺輪さんが話すとどんな話も面白くなった」と振り返る。

 遺体が発見された29日の報道で事件を知った。スマートフォン用アプリ「LINE」で寺輪さんが行方不明という噂が流れていて不安になり、同日夜に寺輪さんのLINEにメッセージを送った。

 「寺輪」

 名前を呼びかけただけの短いメッセージに、いつもならすぐに来る返信はなかった。LINEは相手が読めば「既読」と表示されるが、最後に送ったメッセージは今でも未読のまま。「もっともっと寺輪さんと話したかった。もうそれができないと思うと悔しくてたまらない」。男子生徒は泣きはらした目でそう漏らした。

 「どうしてこんなことに…。大好きな韓流アイドルに会いに韓国に行くと言っていたのに」

 小学4年からの付き合いというクラスメートの女子生徒(15)は、寺輪さんの影響もあって器械体操を始めた。週末の練習ではともに切磋琢磨(せっさたくま)し、学校では歌手の話に花を咲かせた。「今月22日の寺輪さんの誕生日にメッセージを送ったときに『これからも何でも相談してね』と答えてくれたのに…」と肩を落とした。

 同級生の男子生徒(15)は寺輪さんと小学4年のときにクラスメートになり、「よく寺輪さんの家で鬼ごっこをして遊んだ。夏休みの最後なのに、何でこんなことに。実感がわかない」と困惑した様子でつぶやいた。




 三重県朝日町の強盗殺人、死体遺棄事件で亡くなった同県四日市市立朝明(あさけ)中学3年、寺輪博美さんの通夜が31日、四日市市の斎場でしめやかに営まれた。25日に行方不明になってから6日。訪れた大勢の友人や保護者、親類は明るかった寺輪さんとの突然の別れを悲しみ、冥福を祈った。

 学校内外で友人が多かったという寺輪さん。通夜には通っていた朝明中の生徒のほか、他の中学校の制服を着た生徒も多く訪れた。焼香を終えた同級生らはハンカチで涙を拭い、保護者や先生に背中をさすられながら斎場を後にする人の姿もあった。

 事件当日の昼に、無料通信アプリ「LINE(ライン)」で連絡を取ったという友人の男性(20)は、「最後に会ったのは8月中旬。25日もLINEで会おうというやりとりをした。まさかこんなことになるなんて……。早く犯人を見つけてほしい」と声を落とした。【大野友嘉子、谷口拓未】




 三重県四日市市立朝明(あさけ)中学3年、寺輪(てらわ)博美さん(15)=同市山村町=が殺害され、同県朝日町の空き地に遺棄された強盗殺人、死体遺棄事件で、現場の空き地が県道からは直接見えない所にあることなどから、土地勘のある人物が25日夜に寺輪さんを襲った可能性が高いことが捜査関係者への取材で分かった。明るい所から1人になるまで尾行された可能性も指摘されている。県警特別捜査本部には、「若い女性が現場近くを歩いていた」「不審車両が通った」などの複数の目撃情報が寄せられているといい、裏付けを進めている。

【遺棄現場は…】広がる闇 少ない街灯、歩行者なく

 遺体が見つかった空き地は県道66号近くにあるが、木で囲まれて道路から直接は見えない。寺輪さんは現場付近で襲われ、ほとんど無抵抗で殺されたことが分かっているが、夜間に付近を歩く人は皆無に近く、待ち伏せだった可能性は低いという。

 寺輪さんは四日市花火大会に友人と出かけた日曜日の25日、午後10時34分に友人の家の最寄り駅のJR朝日駅で下車した。防犯カメラの映像解析から、同駅で列車を降りたのは5人でいずれも女性。寺輪さんは近くのスーパーで友人と別れ、1人で県道を歩いて家に向かった。

 捜査関係者によると、週末の県道は交通量が減る。現場は車のスピードを出しやすい所で、車上から歩いている被害者を物色するのも難しいという。このため特捜本部は、明るいスーパー周辺から1人で歩き始めた寺輪さんを見つけた何者かが、後を追った可能性があるとしている。

 一方、空き地で遺体の周囲に捨てられていた寺輪さんのかばんや財布などからは複数の指紋が検出された。特捜本部で鑑識作業を進めている。【永野航太】




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