10月12日、鳥取県議会本会議において、「鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例」が可決された。

議案は、県議会議員38人中35人の連名で提出された議員提出議案。賛成34、反対2、棄権1での可決だった。尾崎薫議員(えがりて)と浜田妙子議員(きずな)が反対した。11日の総務警察常任委員会で採決に反対した広江弌議員(自民)は、棄権した。


この条例では、人権救済機関となる「人権侵害救済推進委員会」(以下 委員会)を設置するとしている。


委員会は知事の直属機関とされ、正当な理由なく調査を拒んだ場合、当事者には5万円以下の過料を科す。また委員会が人権侵害中止の勧告を行うことができ、その勧告に従わない場合にはその旨を公表することができるとした。勧告に従わないものの公表に関しては氏名・住所を公表する一方、事前に弁明する権利が明記されている。


また、報道機関の報道、取材の自由その他の表現の自由を最大限に尊重すべきであるとしている。一方で、条例適用対象から報道機関も除外していない。


委員会の措置は行政処分であるため、裁判所による手続きは必要としない。このため弁護士の選任は考慮していない。


今回可決された条例案は、10月5日、清風、自民、信、公明、住民連合、社民の6会派35人によって共同提出された。清風は先月の総選挙の後、自民党から離脱した県議会議員により結成された保守系会派。信は民主党系の会派。昨年12月、県が議会に提出した条例案を継続審議とし、修正したものを提出した。


条例案は議会内外で論議を呼んでいた。


常任委員会での審議では尾崎議員が氏名公表に懸念を示したが、提案した議員からは妥当とする反論がなされた。朝日新聞などによれば、鳥取県弁護士会は8日会長声明を出し「氏名公表は社会的生命を奪いかねない。刑事罰以上の制裁なのに弁護人の選任もない」「反対尋問権や弁護士選任権が保障されていない」「表現・報道の自由を制約」するなどの批判を行い、憲法違反の虞があるとの見方を示した。条例には委員会の委員のうちには、弁護士を含めるように努めることとなっているが、県弁護士会はこれについて態度を保留している。また地元紙である山陰中央新報が、7日の社説で県民への周知や議論が十分でないとする批判を行ったのをはじめ、報道機関の論調も批判的である。



都道府県としては初めて、鳥取県議会が12日、人権侵害の救済を目的とする独自の条例案を賛成多数で可決した。条例の内容をめぐっては、憲法に違反するとの指摘もされている。


 この条例案は、国の人権擁護法案を先取りする形で議員提案されていたもの。人権侵害として差別や虐待など8つの項目が定義され、加害者が勧告に従わない場合には、氏名などが公表され、正当な理由なく調査を拒否した場合、5万円以下の罰金が科されるとされている。

この条例案をめぐっては、県の弁護士会が憲法違反の恐れがあるなどとして反対を表明したほか、人権侵害の定義があいまいで報道機関にも適用されることなど、表現の自由を制約する恐れがあるとして、県内外から多くの反対意見が寄せられていた。

しかし、鳥取県議会は12日の本会議の採決でこの条例案を賛成多数で可決した。条例案は来年6月1日から施行される。 



鳥取県議会は12日の本会議で、全国初の「県人権侵害救済推進及び手続に関する条例案」を賛成多数で可決した。人権侵害の調査、救済にあたる第三者機関を設け、罰則や氏名公表などの権限を持たせる内容。県は06年6月1日の施行までに、規則や委員会事務局の構成などを詰める。 


 条例案は県議38人中35人の連名で議員提案された。採決の結果、賛成は保守系や革新系会派を含め34人、反対2人、棄権1人。同条例は政府の人権擁護法案を参考にしており、国の動きを先取りする形だ。「市民生活に干渉しすぎる」「表現の自由を損なう恐れがある」「報道機関が除外されていない」などの批判が寄せられる中での条例成立となった。 


 救済機関となる人権侵害救済推進委員会は知事の付属機関とされ、県公安委員会などと同様の独立性を持つ予定だ。正当な理由なく調査を拒んだ人権侵害の当事者には5万円以下の過料を科し、勧告に従わない場合は氏名・住所を公表できるなど、委員会の強制力は大きい。当事者は勧告と氏名・住所公表の際の2回、事前に弁明する権利はあるが、過料の際は抗弁の機会はない。 


 こうした点について、鳥取県弁護士会は「氏名公表は社会的生命を奪いかねない。刑事罰以上の制裁なのに弁護人の選任もない」と批判。「委員会の委員に弁護士を推薦できるかどうか分からない」と、保留の態度を示している。 


 また、条例では報道・表現の自由の尊重を定める一方、報道機関を適用対象から除外していない。「社会的信用を低下させる目的でのひぼう・中傷、私生活などの事実を公然と摘示する行為」を人権侵害と定義し、条文上は行為に公共性や真実性があるかどうかは問題とされないため、「批判記事などが該当する可能性もある」との懸念も出ている。 


 行政機関が侵害の当事者になった場合の甘さも指摘されている。 


 県が04年12月に提案した最初の条例案は、適用対象に行政機関が含まれていないことなどが問題とされた。県議会での修正の過程で行政機関も対象に加わったが、「公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれのある時は、人権侵害の事実の有無を明らかにせずに協力を拒否できる」とする項目が入り、捜査機関などが調査を拒める余地を残した。 


 批判が多く出ていることについて、条例案に賛成した県議の一人は「条例が完全でないのは分かっているが、運用しながら修正していけばいい」としている。