JWSSNニュース

こちらはJWSSNニュースです。 情報提供お待ちしています。 我々JWSSNニュースは日本国内で起きたニュースはもちろん、世界で起きたニュースや小さいニュースなど180度様々な視点からお伝えします。 どうぞ、これからもJWSSNニュースを末永くよろしくお願いします。 ちなみに、JWSSNはジャワスンと読みます。 また、当ニュースの編集長は19歳の現役大学生ですのであしからず。

1999年11月

◆「防げたはず」に苦しむ

 「どうせ男は女を思い通りに扱うでしょ。対等な関係の恋愛なんてありっこないと思っていた」

 東京・新宿区の民間カウンセリングルーム「心のジム・テヅカ」。都内のパソコン編集会社で働く綾子さん(26)(仮名)は、3年前までの自分を冷静に振り返った。

 綾子さんの恋愛恐怖症の根っこをさかのぼると、中学2年の夏休みに負った深い心の傷にたどりつく。

 テニス部の練習を終えた下校時、中年の男性に車の中から道を聞かれた。「隣に乗って案内して」と頼まれて、「イヤと言えなかった」。口ごたえをすると暴力をふるう父親を見て育ち、「大人には逆らってはいけないと思っていた」からだ。

 「かわいいね」「タレント養成会社を経営している。静かなところで写真撮らせて」と男のペースにのせられて、ラブホテルに。「親からかわいいと言われたことがなかったから、うれしかった」という。緊張をほぐすためにと錠剤を飲まされ、頭がぼおっとしているうちに下着を脱がされた。意識が戻ると、悪寒が走った。「私、とんでもない世界に行ってしまったかもしれない」

 起こった事実を整理できないまま、親に打ち明けた。母親は「なんでついてったの」「どんな風にされたの」とわめき立て、父親は「お前は傷物だ。だれにも言わず、処女で通せ」と責めるだけ。警察には届けなかった。

 翌月、予定通り生理がきた。「汚れた自分が生まれ変わるには優秀な子になるしかない」と、とりつかれたように勉強して受験校に合格。が、高3の時、大学受験のストレスからか拒食と過食を繰り返すようになった。志望の大学に入学できず、症状はひどくなるばかり。

 友達みたいに恋をしたいと思っても、「汚れた自分には無理」「男に体を支配されるのはまっぴら」と抑止する気持ちが働いた。

 97年に警察に届けられたレイプは1657件。この数字は実態の1割以下ともいわれ、それだけレイプ被害者が声を上げにくい社会であることを物語る。

 「挑発的な服装や態度が誘因になる、抵抗すれば防げたはずといった誤った社会通念が邪魔をして、特殊な男女の事件として見られがちなことが問題」と、武蔵野女子大学の小西聖子教授(臨床心理)は言う。「誤った通念を持っているのは被害女性でさえ同じ。バカな自分が悪かったという気持ちから抜け出せずに苦しむ人が多いんです」

 綾子さんもずっと自分を責めてきた。暗く長いトンネルから脱出できたのは、カウンセラーとの出会いだった。「レイプは性的な暴力で、だれの身にも起こりうる。あんな目にあえば、だれだってあなたと同じ状態になる。悪いのは決してあなたじゃない」という言葉に救われた。

 1年前、綾子さんはグループカウンセリングの場で知り合った男性と交際を始めた。肌のぬくもりを確かめ合うこともできた。「今の君でいいんだから」。彼のそんな温かさが支えになっている。

◆無責任な人は願い下げ

 今年9月、低用量ピルが解禁されて2か月余り。利用はまだそれほど広がっていないが、夫婦や恋人の関係に少なからず影響を及ぼしていくかもしれない。

 「今日からピル解禁」のニュースを見た日の夕方、東京の会社員、香織さん(31・仮名)は、2歳上の彼に「私も飲んでみようかな。どう思う」と話し掛けた。

 付き合い始めて5年。これまで避妊にはコンドームを使っていた。コンビニから自分で買ってきて、言われなくとも自分からちゃんとコンドームを使う彼の姿に「きちんと私のことを考えてくれている」と信頼を寄せていた。

 しかし、「わざわざ医者に行かなくても、別に今のままでいいんじゃない?」と、大して興味なさそうな態度。それでも「コンドームつけないで、エッチできるんだよ」と水を向けると、「それはいいな」と急に乗り気な様子に内心少しがっかりした。

 今まで避妊に失敗した事はない。でも、毎月生理が来るまでは、いつもかすかなれでがれでた。生理が来た時の何とも言えない安ど感。「自分が妊娠するわけじゃないし、結局、彼にはこの不安は分からないのかな」

 東京・青山にある青山病院産婦人科医師の早乙女智子さんは「ピルを使ったセックスを選択するためには、カップルの間で信頼できるパートナーシップを築くことが重要」と思っている。女性の体や毎日服用しつづけることへの思いやり。コンドームを使わなくて済むだけに、性感染症にかかる危険性が高まるため、相手も病気を持っていないという信頼も欠かせなくなる。

 都内の金融会社に勤める礼子さん(27・同)は、半年前から付き合い始めた彼には、ピルを飲んでいることを隠しコンドームを使い続けている。避妊に対して、彼がどんな考えを持っているかも知りたかったし、過去の性体験が分からず、病気に対して不安があったからだ。「ただ『大丈夫だよ』なんて言う無責任な男だったら願い下げ。これからは妊娠に脅えないで私が相手をふるいにかけることができる」

 ピル解禁の必要性を積極的に訴えて続けてきた日本家族計画協会クリニック(東京・市ヶ谷)所長の北村邦夫さんは、カップルの間でピルが話題に上ることを歓迎している。それが避妊を含めた2人の性を考える大切なきっかけになるからだ。「ピルを使い始めたことで、お互いの関係を深めているカップルも増えているように思う」と話す。

 北村さんに紹介された短大生の薫さん(21・同)と、社会人の和也さん(21・同)のカップルはピルの代金を折半している。そのことについて、「2人の間の事だから当たり前」と口をそろえる。

 こんなカップルはまだ少ないが、これまでほとんど1人で来院していた女性の中に、パートナーを伴う人が目立ってきた。そろって性感染症の検査を受けるカップルもいる。北村さんはピルが日本の男女関係を今後どう変えていくか、楽しみに見守っている。

◆性教育「面白くない」 まだなの?に焦り

 「えっ、うそー」。栃木県足利市の高校に通う朋美さん(仮名・16)は、思わずドキリとした。10月下旬、同市内の高校生を対象に開かれた性教育講座でのこと。クラスの保健委員をしていた彼女は、担任の教師に勧められて渋々参加していた。

 ビートの利いたダンス音楽が流れる中、ショートパンツにアームウオーマー姿の女子短大生4人が講師役として参加者の間を回りながら、避妊法や性感染症について質問していた。そのうちの1人が「コンドームをつけるか、ピルを服用するかして、きちんと避妊しない限り、たった一回だけのセックスで妊娠することもあるんだよね」と周りを見渡した時だ。

 朋美さんは、同級生から「最初のセックスじゃ妊娠しないよ。私も避妊しなくて大丈夫だったから」という話を聞き、そう信じていた。高校2年生。すでにクラスの何人かは性体験があり、セックスを身近に意識していた。

 学校でも性教育を受けていたが、「先生が一方的にしゃべってるって感じで、全然面白くない。友達の話の方が参考になる」と言い切った。ただ、その一方で「周りからいろいろ聞くと、友達より遅れているのかなって時々焦っちゃうことがある」と本音ものぞかせる。

 地域や学校と連携して、この講座を開いた自治医大看護短大(栃木県南河内町)の高村寿子教授が注目しているのは、こうした仲間の行動に大きな影響を与える「ピア・プレッシャー」だ。ピアとは英語で仲間の意味で、仲間の行動に影響する言葉や行動がこう呼ばれている。

 「1番強いピア・プレッシャーは、セックスまだなのという言い方。それで焦り、仲間外れになりたくない一心でセックスしているケースが少なくない」と指摘する。ほかにも、「○回デートをしたら、セックスするもの」「女がコンドームをつけてほしいと言うと嫌われる」など。大人の目から見ると、根拠もなく、荒唐無稽(むけい)に思えるようなことが若者の間の“常識”となって、個人の行動を左右しているという。

 「今の若者は、仲間でかたまり、大人の押し付けには反発する。しかし、仲間内でも本音で話せない、人と向き合えない子が増えている。だから表面的な情報に流されやすい」と高村教授は指摘する。こうした若者の心に届く性教育の方法として、91年から自分のゼミの学生たちと一緒に「ピア・カウンセリング」に取り組んできた。

 イギリスで生まれたこの方法の特徴は、同世代の「仲間」が講師を務めること。大人が考える若者の性のあるべき姿を押し付けるのではなく、セックスに対する意識が近く、同じ悩みを抱えている者が一緒に考える形をとらない限り、若者に受け入れられないと高村教授は考えている。

 東京都の教師らで作る性教育の研究会が今年1月、高校生約3200人に行った調査では、3年生の性交経験者は4割近く。うち初めての時、避妊しなかった生徒は約40%にのぼった。

 「知らなかったら、やばかったよね」。朋美さんの言葉に実感がこもっていた。

◆身近にある危険、なのに少なすぎる知識

 「ビョーキにかかって今、薬もらってる」。東京・六本木のファミリーレストラン。18歳の女子高生加奈子さん(仮名)はあっけらかんとそう言った。

 「やばいかな」と思ってはいた。おりものが続き、かゆみも消えない。産婦人科の医院で「カンジダ」と診断された。「本気でも遊びでも、コンドームつけなかったから、だれからうつされたのか分からない。でも薬で治るから、まぁ、いいか。彼氏には話してないけど……」。幼さが残る表情にはそぐわない過激な言葉が次々飛び出してくる。

 彼女の初体験は中学生の時。相手はナンパされた24歳の社会人だった。友達や雑誌を通じて、セックスのことを知り、自分も早く体験しなきゃとプレッシャーを感じていた。その時もコンドームはつけなかった。

 以来、自分からコンドームをつけてと頼んだことはない。「今の男の子はつけたがらないよね。私もナマじゃないと気持ち良くないし、相手につけてって言うのも面倒くさいし、間が空いちゃうし」。無防備なセックスをして、妊娠や性感染症への不安はないのか。「まだ、私は大丈夫って余裕ぶってるのかも。ビョーキなら薬で治る。ただ、エイズだけは怖いから検査は受けない」

 昨年度、厚生省の性感染症に関する研究班が、全国を7つのブロックに分け、各ブロックごとに選んだ一つの道県内のすべての産婦人科、泌尿器科、皮膚科、性病科を対象とした大掛かりな性感染症の調査を行った。

 その結果、10万人当たりの性感染症の推計罹患(りかん)率は、男394人、女553人で、従来の調査に比べ女性の感染率が高かった。女性は10歳代後半から罹患率がぐっと増え、ピークは20歳代前半。一方、男性のピークは20歳代後半で、女性に比べて分布カーブがゆるやかなのが特徴だ。また、日本は先進国で、90年代後半にりん病の感染率が上昇している唯一の国。HIV抗体陽性も増えている。

 「症状の表れない病気もあるので、この数字も氷山の一角。身近にある危険なのに、危機感があまりに薄い」。研究班の班長を務める札幌医科大名誉教授の熊本悦明さんは苦り切る。

 東京・六本木のハンバーガーショップの一角で、今年4月から毎週木曜の夜に女性の無料健康相談を行っている地元の産婦人科医、赤枝恒雄さんも、「今の若い子は自分の体の仕組みや避妊、病気についての知識は驚くほど少ない。この背景には街にはんらんしているセックス情報の存在が大きいのではないか」と指摘する。

 雑誌や漫画、アダルトビデオのセックスに、コンドームはまず登場しない。コンドーム不使用を売り物にする風俗産業など、刺激的な性情報があふれ、彼女たちもセックスはこういうもの、性器の接触だけだと思い込まされている。

 セックスを「食べちゃった」と表現する言葉遣いに、互いに向き合う濃厚な関係より、その場限り、頭で覚えた通りにセックスをこなす姿が透けて見える。

◆1人に絞れず 独りは寂しく 居場所探し

 東京・池袋に住む高校三年生の景子さん(18・仮名)愛用の手帳は、丸い小文字でびっしりと埋まっていた。遊びやデートの予定、1日の出来事などが書いてあるという。

 「この前カレシに手帳見られて、別の子とのエッチがバレて、別れちゃった」。はやりの厚底ブーツに、ショートパンツの彼女はあまり懲りているふうもない。「男だって浮気するし、いろんな人と経験したい気持ちってあると思う」。仲良しの由香さん(18・同)も「カレシ一人だけだと、いなくなったら寂しいよね」と横から口を挟む。

 アンケート調査を基に今の若者の恋愛意識を分析した「現代日本フツーの恋愛」の著者で東京学芸大助教授の山田昌弘さん(家族社会学)は、若いカップルの間で、本命の恋人のほかに、予備の彼、彼女を“ストック”として持つ傾向があると指摘する。

 今年の初夏に、関東圏の大学生の男女約900人を対象に行った調査で、恋人以外の最も親しい異性との関係を聞くと、「二人きりで親しく話す」が一番多く36%。「二人きりで出かける」13%、「セックスすることがある」も5%だった。

 ストックがあれば、いつも強い立場に立てるし、情熱が冷めたり、嫌な面が見えたらすぐにバイバイできる。山田さんは「昔ほど一人の人への思い入れがなくなった」と言う。かつて、恋愛の到達点だったセックスや結婚も、もはや特別な意味を持たなくなった。

 首都圏の高校生をターゲットにした月刊雑誌「東京ストリートニュース!」の編集長をつとめる藤林仁司さん(42)によると、高校生カップルの恋愛サイクルはますます短くなっているそうだ。「普通は2、3か月、長くて半年で、男女ともに次々と新しい恋人を見つけている子も少なくありません」と話す。

 街でクラブで、インターネットを通じて、異性との距離が近くなった。だれか一人にこだわらなくても、次のだれかと簡単に知り合える。「メールアドレス、携帯電話の番号をたくさん知っている子は尊敬される。顔が広い子ほど男女を問わず人気者なんです」

 同誌編集部が開いているホームページの掲示板に、高校生たちが携帯電話で送ってくるメールには「今、すっごく寂しいの」「今日、超ヒマ、だれかメールちょうだい」など、「つまんない」「退屈」「暇」という言葉が多いという。ほんの短い時間も、一人でいるのは寂しくて、とにかく自分を楽しませてくれるだれかがほしい。「表面的な付き合いに思えるかもしれませんが、一見自由に見える彼らなりの懸命の居場所探しとも言えます」と藤林さん。

 景子さんは、友達と街で楽しく遊びながら、一人になると、時々「だれかと互いにハマれたら幸せかも」と思うことがあるという。

 「私だけを一直線に見てくれる男がいて、私もその人しか見えなくなればハマるかもしれないけど……。今の時代、そんな男、絶対いないよね」

このページのトップヘ