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19歳の現役大学生が編集長ですが・・・・(笑)

 外食チェーンはあの手この手で"胃袋"を奪い合っている。せっかく店でおなかを満たすなら、料理と共にそのビジネスモデルまで味わい尽くしたくはないか。『週刊ダイヤモンド』11月11日号の第1特集「味から儲けの仕組みまで 外食チェーン全格付け」の拡大版として、「週刊ダイヤモンド」と別テーマあるいは未掲載箇所をたっぷり盛り込んだ経営者たちのインタビューをお届けする。第7回は回転寿司大手であるスシローと元気寿司の経営統合を主導する米卸大手、神明の藤尾益雄社長に聞く。(『週刊ダイヤモンド』編集部 大矢博之)

 ――9月29日、スシローと元気寿司の経営統合が発表されました。米卸大手の神明がなぜ回転寿司業界の再編を主導したのでしょうか。

 まずわれわれが2012年に元気寿司に出資した理由からお話ししましょう。当時、私は出張先のインドネシア・ジャカルタで昼食を取るため、現地の回転寿司店を訪れました。回転レーンなどといった内装は日本の回転寿司店と変わらず、午後2時過ぎなのに行列ができていました。

 寿司を食べてみて、驚きました。日本の寿司と比べて遜色ない味だったのです。興味を持ったので寿司を分解し、シャリを調べました。どう見ても日本米ではなく、カリフォルニア米。そこは残念でした。

 海外でも回転寿司店がこれだけ流行っている。店の従業員も客も現地の人なのに、日本の回転寿司店と変わらない光景が広がっている。寿司は世界に広がると確信しました。

 帰国後、海外進出に積極的な回転寿司店を調べ、元気寿司の存在を知りました。当時で海外に80店以上を展開していて、今は160店を超えています。すごい会社だなと感じ、元気寿司の大株主だったグルメ杵屋に接触しました。グルメ杵屋の社長は、ダイエーの中内功さんが主催していた経営者の2世が集うビジネスクラブに共に参加していて、よく知る間柄でした。こうして元気寿司の株を30%弱取得したことが、回転寿司業界に参入するきっかけとなりました。

 ――海外展開が目的なのですか。

 回転寿司は国内でも大きな産業ですよ。しかも、居酒屋大手の優良店の月商が1000万円の時代に、回転寿司店は月商2000万円、優良店は3000万円を超えます。

 回転寿司店は二世代、三世代と大人数で訪れやすく、祖父母が孫を連れて来ることができる。0歳から100歳までを満足させる底力があり、家族のコミュニケーションの場としても活躍している。子供の好きな食事のアンケート調査でも、寿司は上位に入ります。

 元気寿司に出資した際、「なぜ異業種に参入するのか」とよく言われました。でも、寿司はネタとシャリでできています。だから米のプロが取り組むべきビジネスです。米卸にとって、寿司店はまさにど真ん中の、力を投入すべき業態なのです。

 ――米卸にとってメリットはどこにありますか?

 米の消費量は年々減っています。昭和の時代には年間1300万トン、1人当たり月に10キロ食べていたのに、今や年間の消費量は750万トンにすぎません。600万トンも食べなくなったという恐ろしい減少量です。

 米離れの理由には、炭水化物を控えたダイエットなどもありますが、食べるまでに炊いて蒸らすなどの手間がかかることも一因です。だからわれわれは、米を炊き、すぐに食べられるご飯の状態へと加工して届けることに注力しています。

 とりわけ寿司は、ネタの鮮度とシャリの味という、外食でも素材勝負の業態です。米の消費を拡大するためには、外食産業の存在は欠かせないのです。

 ――元気寿司スシローの統合の狙いは?

 回転寿司の国内市場を広げることです。現在、寿司全体の市場は約1.5兆円ですが、回転寿司が占める割合はまだ約4割。ですが、回転寿司は1兆円まで拡大できる余力があり、まだまだ出店する余地があります。回転寿司は米の消費をけん引すると考えています。


 また、これは私の持論ですが、どんなカテゴリでもチェーンのトップ3しか生き残れません。米や魚の価格も上昇しているため、原価が高くなり、人件費のコストも増えています。かつて1店舗の損益分岐点は月商1500万~1600万円程度でしたが、いまや1800万円まで上がっています。元気寿司だけでは規模の問題がありました。スシローと元気寿司の統合で、調達力を高める必要があります。

 ――元気寿司とスシローで商圏が重複する店舗の閉鎖についてはどう考えていますか。

 元気寿司は北海道や北関東など、支持されているエリアがあります。一方、スシローは兵庫と大阪に強いといった違いがあります。エリアごとに協議し、店の方向性を考えていくべきでしょう。ただ、元気寿司とスシローで商圏が完全に重複する店舗は2、3店舗程度しかありません。商圏のサイズが大きく、いずれの店舗も好調ならば並存しても面白いと考えています。

 ――ブランド戦略についてはどう考えていますか。

 スシローと元気寿司の魚べいを並存させていきます。この2つのブランドは、客層に違いがあります。

 スシローは子供に人気で、家族層に強い。魚べいは学生や外国人に人気。スシローは従来型の回転寿司店ですが、魚べいは4ヵ国語に対応した最新のタブレットを使った注文方式を採用し、白基調のカウンター席が中心の"回らない"回転寿司店です。店の個性の違いを出せると考えています。

 ――今後の出店戦略の方針は。

 これまでの年間出店数は元気寿司が10~15店で、スシローが約30店です。今後についてはこれからの両社の話し合いになりますが、スシローには全国的な知名度があり、郊外ロードサイドの大型店に強みがあります。ですので、これまで手薄だった北陸や四国といった広範囲に進出していけるでしょう。

 魚べいは北陸や四国へと手を広げる必要はありません。むしろ、インバウンド客などを狙った大都市を中心に攻めるべきです。

 ――寿司に使う米は元気寿司とスシローで違います。今後統一していくのですか。

 確かに元気寿司は神明の米を使い、スシローは全農パールライスです。ただ、われわれの最大の仕入れ先は全農であり、全農にとっての最大の得意先は神明です。


 回転寿司業界をわれわれも独自に調査していますが、100円回転寿司でシャリが美味しいのは元気寿司とスシロー。全農パールライスが研究を尽くしてシャリに合う米をスシローに提案していて、われわれも元気寿司のために専用の米を提供しています。米のプロがついている2社のシャリが、やはり美味しい。

 シャリの味には好みもありますので、スシローのシャリを無理やり変えなくてもよいでしょう。米の消費を拡大させて農業を元気にするという最終的な目的は、われわれも全農も同じなので、慌てて米を統一する必要はないと考えています。

 ――米を統一して販路を拡大できなければ、神明にとっての経営上のメリットはないのでは?

 スシローと元気寿司の将来の店舗数は、国内外で1000店や1500店を目指していきます。回転寿司は海外でも成長する余力があり、日本の食文化を海外に広めることを通じて、日本の米などの原材料も海外に広めたいのです。

 まず海外の消費者に食べてもらうために外食を使い、「寿司や定食にはやっぱり日本米が一番合うよね」と気づいてもらえれば、海外の食料品店に日本の米が並ぶ時代がやって来るでしょう。

 それに加え、海外の元気寿司の店舗で使われている米はわれわれが提案しており、海外展開のノウハウはスシローより元気寿司の方が豊富です。寿司を海外にどんどん普及させ、海外でのわれわれの米の消費が伸びていけばよいと考えています。日本の米を世界に広げていきたいです。

 ――元気寿司は2013年にかっぱ寿司との統合を発表しましたが破談した過去があります。今回の統合は本当にまとまるのでしょうか。

 かっぱ寿司との統合話は、救済型だったという違いがあります。わが社にとって、もともとかっぱ寿司は重要な取引先だったのです。

 2000年にわれわれは埼玉県本庄市に精米工場を建設し関東に進出したのですが、当時は販売先がありませんでした。月に5000トンの精米能力があったのに、1000トンしか売れなかった。そのとき、埼玉県を本拠とするかっぱ寿司に飛び込み営業をかけ、取り引きを始めてくれたのです。私は当時、営業本部長で自ら開拓した取引先ですので、思い入れがありました。

 その後も、取引量を増やしてくれたかっぱ寿司は、精米工場の主要顧客になりました。ところが、次第に業績が振るわなくなり、米の使用量も減っていきました。そして銀行からの打診があり、私も思い入れのあるかっぱ寿司がつぶれるわけにはいかないと、統合の話を受けたのです。


 ――なぜかっぱ寿司との統合はうまくいかなかったのですか。

 かっぱ寿司は変化に対応できておらず、再建には元気寿司の力が必要だと考えていました。私は元気寿司に対して、「寿司はごまかせない。原価率は上がってもいいから、一番大切なことは集客だ」と言い続けてきました。

 回転寿司店の実力を測るバロメータは、既存店の来店客数です。利用客は満足しなければ、二度と来店しなくなる。外食は儲かりにくいビジネスで、黒字にするためには利用客を増やすことが何より大事なのです。

 かっぱ寿司は経営効率を追求しすぎているように見えました。営業利益率は12~13%と高いのですが、セントラルキッチンでマグロをカットして凍らせて、店で解凍して提供していたのです。寿司は素材勝負ですから、店内調理や品質にこだわる元気寿司のノウハウを注入するべきだと考えました。

 でも、両社は企業文化が違いました。元気寿司は品質にこだわる一方、かっぱ寿司は効率性を追求し、寿司のファミレス化を推進するという意見の相違がありました。おまけにかっぱ寿司は、かつて業界ナンバーワンだったという自信があり、規模で元気寿司の3倍。元気寿司の提案を受け入れませんでした。

 そうした状況下でコロワイドから声がかかりました。コロワイドの文化はセントラルキッチンを始めとする合理化。かっぱ寿司と考え方が近いので、コロワイドへの売却が決まりました。

 ――企業文化の違いは、元気寿司とスシローにもあるのではないですか。

 実は元気寿司には、スシローがなぜ人気かを研究する専門チームがあります。元気寿司の法師人尚史社長がチームリーダーで、スシローの店を食べ回っていました。スシローはある意味で憧れの存在なのです。

 客が訪れる一番の目的である、寿司を旨くすることに、とにかく力を入れるという共通点があることが、かっぱ寿司との違いです。スシローの水留浩一社長と膝詰めで協議を進めてきた点も、かっぱ寿司の時とは違います。

 ――統合発表までにはどういう交渉をしていたのですか。

 水留社長とは取引先なので面識がありましたが、本格的に協議を始めたのは7月後半です。(スシローの大株主である英投資ファンドの)ペルミラに頼み、話し合いの席を設けてもらいました。第一印象は、はっきり物事を言う人だな、と。

 「神明は筆頭株主になって、何かメリットあるの? 元気寿司にはメリットありそうやけど、 スシローのメリットはあるんかな」と率直に言われたんですよ。あまりに直球の言葉にびっくりしましたが(笑)、私もこう水留社長に伝えました。

 10月に均一価格を280円から298円に値上げした鳥貴族。コスパの評価が高いだけに、業界にも一般利用者にも衝撃が走った。値上げ決断の舞台裏では何があったのか。『週刊ダイヤモンド』11月11日号の第1特集「味から儲けの仕組みまで 外食チェーン全格付け」の拡大版として、本誌と別テーマあるいは未掲載箇所をたっぷり盛り込んだ経営者たちのインタビューをお届けする。第8回は、鳥貴族大倉忠司社長に聞く。(『 週刊ダイヤモンド』編集部 山本 輝)

 ――10月に均一価格を280円から298円に値上げしました。何があったのでしょうか。

 酒税法改正によるビールなどの仕入価格の高騰だけでなく、人件費や求人費がどんどん上がっています。労働環境を少しでも年々良くしたいという基本方針もあるなか、総合的に考えて判断しました。

 今後、消費増税も見込まれるでしょう。増税後は消費者心理を考えると価格を上げにくい。それもあって、今しかないと決断しました。

 ――値上げはいつから検討されていましたか。

 正直言うとですね、アベノミクスが出始めた頃から意識はしていました。結構早い段階です。

 政策として物価を上げていくというのですから、流れは変わると思いました。後に東京オリンピックの開催も決まり、地価も家賃もじわじわ上がって、これはもう、上げざるを得ないタイミングが来ると考えていました。

 ――実際、値上げを決めた時の社内の雰囲気はどうでしたか。

 みんなびっくりしていましたね。「そんな方法あったんだ」と(笑)。

 それまでも、「280円均一を守ろうプロジェクト」として、現場での細かい積み重ねの努力をしてきた。例えば、メニューの「キャベツ盛り」はおかわり自由なのですが、その都度、スタッフの手が取られてしまいます。そこで器を大きくすることで、その回数を極力減らしました。

 みんな、280円を守るべきものだと考えてくれていたんです。そのために頑張ってくれた。だから、値上げせざるを得なくなったのは、自分たちの責任だと社員は思っていたんです。

 でも、そうじゃないんだよと。実は私自身は、均一価格にはこだわるけど、280円という価格にはそれほどこだわっていなかったんだよと。インフレの時代、値上げのタイミングは必ずやってきますから。

 ――外食各社の値上げが相次いでいます。ただ、消費者が価格変化に敏感な外食では、値上げにはリスクもある。値上げが成功する企業とそうでない企業の差はなんでしょう。

 当社の値上げが受け入れられたかについては、まだ未知数ですが……。

 思うに、「共感」が重要なんでしょうね。例えばヤマト運輸は、お客さまのために利便性をどんどん高めていきましたが、半面、スタッフの負担が増えていきました。

 そうした構造が世間にも理解され、現場の負担を改善するため値上げをお願いしますというのに、共鳴してもらえたんでしょうね。

 外食も、残念ながらブラックのイメージが強い。お客さまへのサービスの質を高めて、そのしわ寄せがスタッフへいくようでは企業は長続きしません。この状況をお客さまにも納得してもらうことが必要です。

 あとは、お客さまに不信感を持たれないこと。価格を下げたと思ったらすぐ上げるなどを繰り返していると、適正価格が分からなくなります。そうすると、お客さまは離れやすくなりますよね。

 ――値上げしたとはいえ、居酒屋業態の中で顧客のコスパ満足が抜群。この強み、まだまだ磨けますか。

 やはり焼き鳥専門でやっているのが強みでしょう。品質の高い鶏肉を、スケールメリットを生かして調達できますから。すでに店舗数は500店を超え、目標だった1000店が見えつつあります。

 効率化も進めています。いま、注文用のタッチパネルを順次導入しているところです。省人化につながり、スタッフに余裕ができることで、より良いサービスを提供できます。

 その他にも、まだ計画にすぎませんが、食器だけでなくジョッキの自動洗浄機の導入を検討するなど、オペレーションの改善を重ねています。


 ただ、何でも効率化してコストを削ればいいということではない。

 ――あえて効率化しない部分もあるのですか。

 鳥貴族は全て国産の鶏肉を使っており、串打ちはセントラルキッチンを使わず店内で行う。だから新鮮でおいしいんです。専門でやっているからには、味で他社に負けるわけにはいきません。

 チェーン店ならではの良さと、非効率的な要素のバランスを大切にしています。

 あとは、見えない努力ですかね。本社事務所は質素なビルですし、私自身、送迎車などはなく、毎日自分の車で通勤するなど、節約を心がけています(笑)。

 ――鳥貴族のような専門性の高い居酒屋が台頭する一方、総合居酒屋が落ち込んでいます。

 流通業なんかでもそうでしょう。かつていろんな品ぞろえがあって利便性の高い総合スーパーマーケット全盛の時代があった。でも、アパレルにしろ家具にしろ専門店化が進んでいる。

 居酒屋も同じで、総合居酒屋ではいろんなものを食べられるけど、本当に食べたいものはない。そこに専門店のニーズがあるわけです。

 ――ただ、単一業態では、飽きられてしまうなどのリスクもあります。

 それこそ流通業と一緒ですよ。アパレルのなかで、カジュアルだけで本当にいけますかと。実際はいけたわけです。

 大切なのは思い。例えば日本マクドナルド創業者の藤田田さん。あれだけすごい人でも、マクドナルド以外はほとんど失敗していますよね。なぜかと言えば、マクドナルドほどには情熱をかけられないから。

 業態を2つ、3つと増やしても、全てに同じ情熱をかけられないと、うまくいきません。だから、私たちは、鳥貴族という1つの業態に全力を尽くすのです。

● 抜歯しても消えない「歯痛」に 転々とドクターショッピング

 「うぅ痛い!」

 ある日、知香子さん(仮名・50歳)は鈍い痛みに顔をしかめ、左の頬を押さえた。

 (虫歯かしら。それとも、以前治療したところの内部が悪くなったのかな)

 疼くように痛むのは左の奥歯付近。「どの歯が痛い」と特定はできないが、とにかく「歯が痛い」と感じたので、さっそくかかりつけの歯科クリニックを訪れた。

 訴えを聞いた歯科医師は「レントゲンを撮る」と言った。

 「うーん、特に悪くなっているようには見えませんが、とりあえず前詰めたところを外して中を見てみましょう。これは響きますか?」

 金属の器具で歯をトントンと叩くが、響きもしなければ痛くもない。

 「ひいえ、なんほもありあひぇん(いいえ、なんともありません)」

 口を開けたまま答えると、歯科医師は首をかしげ、ほかの歯も叩いた。やはりなんともない。結局、以前治療したことがある下の奥歯の詰め物を外し、今度はシューっと空気をかけるも、やっぱり全然痛くも、しみもしない。

 「おかしいですね、歯肉の方も全然異常ないですよ。今日は中をキレイにしておきますから、これで様子を見てみましょう」

 応急の詰め物をし、帰された。もちろん、「歯の痛み」は消えない。

 痛み止めを飲みながら我慢し、3日後に再びクリニックを訪れた。

 「痛かったのはあの歯じゃないと思います。あのう…以前、上の歯も治療していただきましたよね。そこが悪いんじゃないでしょうか」

 おずおずと言ってみる。

 「うーん、そうですかね。上の歯が痛い感じがするんですか」

 「ええ。この前は分らなかったんですが、痛いのはこの歯だと思います」

 きっぱり言い切ると、歯科医師はしぶしぶ詰め物を外し、シュッと空気をかけ、内部に異常がないことを確かめると、グリグリと中を掃除し、穴を塞ぎ、とりあえず治療を終了した。

 そしてやはり、痛みは消えなかった。

 (私、どうなっちゃったのかしら)

 不安を抱えたまま3ヵ月が経過。症状は悪化し、夜中に頻繁に目覚め、痛みを感じる日が続いた。

 「つらくて仕方ないんです。なんとかしてください」

 今度は別の歯科クリニックを受診して懇願。高齢の歯科医師は、怪訝な顔をしながらも、数回の受診で、下の奥歯の神経を抜き、上は抜歯してしまった。

 だが、そうまでしても、痛みは消えなかった。歯がないのに、歯が痛いのである。


 「それ、もしかして歯が原因じゃなくて、神経からくる痛みなんじゃないか」

 夫の耕三さん(仮名・52歳)から指摘され、ペインクリニックに飛んで行った。

 頸部のレントゲンを撮ったが「異常なし」。

 帯状疱疹後疼痛かもしれないとのことで血液検査もしてもらったが、決め手になる結果は得られないまま、週一回のペースで首に神経ブロック注射をしてもらう治療を開始した。

 それから半年、残念ながら効果は実感できなかった。その間、強弱の波こそあれ消えることのない鈍痛は、明るく、溌剌としていた知香子さんから生気を奪い、うつ状態に陥れてしまった。

 「ね、今度は大学病院を受診してみないか。ほら、対象疾患の症状に『抜歯をした後、血が止まらない、あるいは痛みがなくならない』『治療しても歯の痛みがなくならない』っていうのがあるよ。君の症状もわかるかもしれないよ」

 耕三さんが、インターネットで慶應大学医学部の歯科・口腔外科学教室のホームページを見つけ受診を勧めてくれたのは、痛みを感じて歯科クリニックを受診してから1年近くも経った頃だった。

● こめかみを押すと 「ないはずの歯」に激痛が走った

 「非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)ですね」

 知香子さんを診察した和嶋浩一医師はそう診断した。和嶋医師は、日本口腔顔面痛学会・元理事長であり、この疾患のスペシャリストだ。

 「非歯原性歯痛」とは、文字通り、痛みを感じる歯には何も原因がなく、痛みを感じる歯と離れた部分に歯科疾患とはまったく異なる異常があって歯痛を生じさせる病気のこと。通常の、「歯科疾患が原因の歯痛=歯原性歯痛」に対して、歯科的原因によらない歯痛という意味で非歯原性歯痛と呼ぶ。 

 聞きなれない病名だが、歯科の国家試験にも毎年出題される、本来、歯科医なら知っていなければならない疾患である。

 「ところが診断できる歯科医も少なければ、治療できる歯科医も当然少ない。どの歯科医でも的確な診断と治療ができるようにしようと口腔顔面痛学会が長年頑張っているのですが、なかなか進展しません」(和嶋医師)

 さらに詳しく説明すると、歯痛、歯肉痛をはじめ、舌、口腔粘膜の痛みなど口の中のいろいろな痛み、顎の痛み、顔の痛みなどの総称に「口腔顔面痛(こうくうがんめんつう)」という疾患があり、非歯原性歯痛はその一種に分類される。口腔顔面痛の患者は、40~50代の女性が多い。

 和嶋医師によると、口腔顔面痛外来を受診する患者の約半数は、知香子さんのような「原因不明の歯痛」、つまり、非歯原性歯痛なのだという。

 また、非歯原性歯痛の原因は8つに分類されており、最も多いのは『筋・筋膜性歯痛』、いわれる筋肉のコリによる痛みで、全体の約5割を占めている。

 肩こりが強いときに頭が痛くなったり、歯が痛くなったりするのと同じように、咬筋(頬)、側頭筋(こめかみ)、胸鎖乳突筋(首)が筋・筋膜疼痛という状態になると、離れた所にある歯に関連痛として痛みが感じられることがあるのだ。

 ◎非歯原性歯痛を引き起こす8つの原因

 1)筋・筋膜性歯痛
 2)神経障害性歯痛(三叉神経痛、帯状疱疹後神経痛など)
 3)神経血管性歯痛(片頭痛、群発頭痛など)
 4)上顎洞性歯痛
 5)心臓性歯痛(心筋梗塞や狭心症)
 6)精神疾患または心理社会的要因による歯痛(身体表現性障害,統合失調症,大うつ病性障害等)
 7)特発性歯痛(非定型歯痛を含む)
 8)その他の様々な疾患により生じる歯痛


 知香子さんには筋肉の張りとコリがあり、トリガーポイント(硬いしこりや押すと響くような痛みを生じるポイント)という痛みの発生源が確認できたことから、「筋・筋膜性歯痛」と判明した。トリガーポイントは、なんとも不思議なポイントで、知香子さんの場合はこめかみのあたりにできていた。

 和嶋医師が「ここを押すとどうですか」と指で圧迫しただけで、「ギャア」と知香子さんは悲鳴をあげた。押されたのはこめかみなのに、頬を押さえて、この歯の痛みですと泣きそうだ。

 筋・筋膜性の非歯原因性歯痛であることは、疑いようもなかった。

● 手術無用のストレッチで 2ヵ月もせずに完治

 非歯原因性歯痛には8つの原因があり、「神経障害性歯痛」のように、思わしい治療成績が得られないものもあるが、「筋・筋膜性歯痛」は別だった。

 「ほぼ100%治せます。治療の第一は、痛みの原因をはっきりさせて、患者さんを安心させ精神的緊張を緩めることです。痛むということは、関係する筋肉に負担がかかっている状態であり、なおかつトリガーポイントができている状態なので、ストレッチなどで筋肉を緩めればいいんです。昨今、肩こり等の治療法として『筋膜リリース』というのが流行っていますよね。あれと同じです」

 和嶋医師はそう言うと、「口を大きく開けて、指3本を縦に入れてみてください」と指導した。

 指3本というと、どうってことないと思うかもしれないが、知香子さんにとってはそこまで大きく開くのは大変なことだった。

 細かい注意点等を教わりながら、なんとか指3本分、口を開けられるようになり、以降毎日起きている間、1時間に1回ずつ続けた。1時間に1回というのは、伸ばす回数を増やすという意味と、1時間に1回行うことで、無意識に歯をくいしばっているような人に、気をつけてもらう意味とがある。

 並行して、温湿布と運動も行ったところ、なんと、あれほど苦しんだ「歯痛」はみるみる軽減し、1ヵ月後にはケロッと治ってしまった。

 それは喜ばしかったが、知香子さんは怒りが収まらない。もちろん、和嶋医師以前に受診した歯科クリニックに対してだ。

 「一体、約1年間にわたる私の『治療』はなんだったんでしょう。抜歯までしたんですよ。受診した歯医者で、治療できないまでも、『もしかしたら非歯原因性歯痛かも』と一言、教えてもらえさえしたら、あんなに苦しむことはなかったのに。歯医者さんにはもっと勉強してほしいです」

【プロフィール】
和嶋浩一(わじま・こういち)
慶應義塾大学病院歯科口腔外科学教室非常勤講師、口腔顔面痛指導医、専門医。1978年 神奈川歯科大学歯学部卒業、1978年 慶應義塾大学病院研修医(歯科・口腔外科)、1980年 慶應義塾大学助手(医学部歯科・口腔外科学教室)を経て、1995年より2017年まで 慶應義塾大学専任講師(医学部歯科・口腔外科学教室)

● 20代がピーク 朝食の「欠食」が増加中

 平成28年の国民健康栄養調査(厚生労働省)によると、朝食の欠食は20歳代で最も高く、男性37.4%、女性23.1%でした。また、30代、40代の男女ともに昨年よりも増加しています。ここでの「欠食」とは、食事をしなかった場合、錠剤などによる栄養素の補給や栄養ドリンクのみの場合、菓子・果物・乳製品・嗜好飲料などの食品のみを食べた場合の3つを示しています。

 前日の夕食が遅かったために朝は食欲が湧かない、少しでも長く寝ていたい、など朝食を欠食する理由は簡単に挙げられます。また、朝食の量は昼食や夕食に比べて少ないイメージがあるので、省略して昼食や夕食を沢山食べれば大丈夫、などと考える人もいるでしょう。

 しかし、朝の時間に食事を摂ることは体のリズムを整える上で欠かせないことです。今回は「朝食」をテーマにその効果や朝食を食べる習慣の作り方をご説明します。

 まずは朝食を食べることによる4つのメリットをご紹介しましょう。1つ目は、体内時計をリセットするということです。

 私たちの体の中には、1日のリズムや季節の変化などに対応するための「体内時計」が備わっています。人間の体内時計は朝食を食べたり、朝日を浴びることで24時間に調整されることが分かっています。

 つまり朝食を食べることで体内時計がリセットされて1日を活動的に過ごすことができ、それが質のよい睡眠につながります。そしてまた翌朝スッキリ目覚めることができるというわけです。

 2つ目は体温上昇に関わることです。

 人間の体温は活動時間である昼間に高くなり、休息時間である夜に低くなるのが通常です。しかし、朝食を抜いてしまうと必要なエネルギーが補給できず、体温が上昇しにくくなってしまいます。体温が上がらなければ、代謝も低下し痩せにくい体にもつながってしまいます。

 朝食を抜くと1日の摂取エネルギーが減り痩せると思っている人も少なくありませんが、朝食を抜くことは逆に痩せにくい体になることを覚えておきましょう。

● 集中力や記憶力もアップ ダイエットにも朝食が効果

 3つ目は脳の働きが活発になるということです。

 朝食を食べない子どもより食べている子どもの方が学力や体力が高いというデータが出ています(平成27年度の文部科学省の全国学力・学習状況調査の追加分析報告)。これは子どものみならず成人にも言えることです。朝食を食べることで脳にエネルギーの補給ができ、集中力や記憶力アップにつながりパフォーマンスが向上します。

 4つ目は便秘解消です。

 便が出ないことは、代謝低下や痩せにくいことにもつながります。朝食を食べることで腸が刺激されて排便を促します。朝食後にトイレの時間を作り排便をする習慣をつけることで便秘改善につながります。

 上記の朝食を摂るメリットが分かっても、朝お腹が空いていない、食欲が湧かないという人も多いのが現実です。そもそも朝お腹が空かないという人は夕食の食べ方に問題がある事が多いので、一度見直してみましょう。

 ・夕食が22時以降になる
・夕食を食べ過ぎてしまう

 このような人は、前回の間食を取り入れる記事(『食べるのが好きな人のための「間食OK」ダイエット』)を参考にしたり、消化のよいものを食べるように心掛けましょう。

 朝食を食べるようになると、自然と間食や夕食の量が減りダイエットにつながる人もいます。朝食を食べない代わりに、昼食と夕食にドカ食いをしてカロリーを摂りすぎてしまうからです。ダイエットの近道は「3食バランスよく食べる」ことに尽きます。

● 「朝食」初心者は ミキサーで野菜ジュースから

 今まで朝食を食べる習慣がなかった人は、まず何かを口にすることから始めましょう。

 手作りの野菜ジュース、ヨーグルトと果物の組み合わせは喉越しもよく、食欲がない人にも食べやすいメニューです。市販の野菜ジュースは糖質を多く含んでいるものが多いので、自身でミキサーを使って手作りするジュースがおすすめです。

 手作りの野菜ジュースでおすすめなのは、味に癖がない野菜と果物を組み合わせることです。小松菜は野菜ジュース初心者にもおすすめで、鉄やカルシウムなど現代人に不足しがちな栄養素も摂ることができます。果物はりんごやバナナならコンビニでも買えます。

 <野菜ジュースのレシピ例>

 ・小松菜1/4株+りんご1/4個+水50cc
・小松菜1/4株+バナナ1本+水50cc

 飲みにくい場合は、水を豆乳(無調整)やプレーンヨーグルト、牛乳に変えると飲みやすくなります。

 朝食を摂ることに慣れてきたら、卵雑炊、ご飯と汁物など栄養面を重視して組み合わせてみましょう。

 バランスのよい朝食を目指すためには、ご飯と卵焼き、野菜の味噌汁のような主食、主菜、副菜の3つのお皿を揃えて摂ることが最終目標です。3つのお皿を揃えなくても汁物にタンパク質の摂れる豆腐、卵、ビタミン・ミネラルが摂れる野菜や海藻・きのこを入れてご飯と合わせるだけでも十分バランスの摂れた朝食になります。

 朝は時間がなく用意するのが面倒という理由から朝食を摂らない人は、用意に時間がかからないものを選びましょう。

 ご飯はまとめて炊いて小分けにして冷凍しておく。汁物は前日に作っておけば温めるだけでパパっと朝食が用意できます。

 また、ご飯を白米ではなく、雑穀米や胚芽米に変えると食物繊維やミネラルが多く摂取できます。

 パン食の時は、パンに納豆やチーズをのせて焼いたものと野菜サラダやスープと組み合わせるだけで立派な朝食になります。

 このように主食(ご飯かパン)にタンパク質とビタミン、ミネラルが摂れるおかずを1品用意しておくと忙しい朝でも簡単に用意ができます。


● 腹持ちと栄養補給に コンビニおでんが使える!

 家庭で用意して食べることがバランスもとりやすく理想ですが、コンビニを活用するのもおすすめです。コンビニで選ぶ際は、菓子パンやカップ麺は避けましょう。お手軽ですが、糖質や油が多いうえに満足感が持続しにくく、すぐにお腹が空いてしまい昼食にドカ食いしてしまうということにもなりかねません。栄養と腹持ちを考えると、以下の3種類をおすすめします。

 ・おにぎり+卵+カップスープ
・サンドイッチ+サラダ+ヨーグルト
・おにぎり+おでん

 ポイントは1食で炭水化物(ご飯、パンなど)、タンパク質(肉、魚、卵、豆腐など)、ビタミン、ミネラル(野菜、果物、海藻類、きのこ)が摂れていることです。

 これからの時期であれば「コンビニのおでん」はタンパク質やビタミン・ミネラルが摂れる具材があり、体を温めてくれるのでおすすめです。タンパク質が摂れるおでんの具材は、卵、厚揚げ、焼き豆腐などがあり、ビタミン・ミネラルが摂れるおでんの具材には大根、昆布、こんにゃくなどがあります。

 ジャガイモや餅巾着は糖質を多く含むので、主食(おにぎりやパン)と合わせるのは避けましょう。

 朝食を食べることがパフォーマンスアップにもつながるので、是非とも朝食習慣をつけてダイエットや仕事に活かしていきましょう。

 (管理栄養士 岡田明子)

 今、最も視聴率を稼ぐスポーツ中継番組は何か、ご存じだろうか。

 その答えは箱根駅伝である。

 昨年(2016年)のスポーツ番組の平均視聴率ランキング(ビデオリサーチ・関東地区)は、1位が箱根駅伝往路の28.0%、2位が復路の27.8%だった。

 昨年は、リオ五輪で連日のように日本選手がメダルを獲得して盛り上がった。サッカーでは、日本代表がW杯アジア予選の厳しい試合を戦っていたし、年末にはクラブW杯決勝でレアル・マドリードと鹿島アントラーズとの対戦が実現した。

 大相撲は稀勢の里の綱とりで、プロ野球も日本シリーズで 大谷翔平がいる日本ハムと、25年ぶりにリーグ優勝した広島が対戦するなど注目度は高かった。 錦織圭松山英樹が世界のトップに挑戦する姿も、ファンの心を躍らせた。

● 100回大会の24年を機に 地方大会から全国大会へ

 だが、こうしたスポーツの中継も、視聴率では箱根駅伝に及ばなかった。多くの人が自宅でくつろぐ正月の2日と3日に行われる大会という効果もあるだろうが、レース中に起こる数々のドラマは大きな魅力。スポーツ分野で最も注目度が高いコンテンツは箱根駅伝なのだ。

 そんな箱根駅伝が、大きな改革を検討していることが明らかになった。「全国大会」化である。

 スポーツファンなら知っているはずだが、箱根駅伝は関東学生陸上競技連盟(関東学連)が主催し、同連盟に加盟している関東地区の大学しか参加できない「地方大会」だった。

 だが第100回大会を迎える2024年を機に、他の地区の大学にも門戸を開放。タイムなど一定の基準を満たせば、前年秋に行われる予選会への出場を認め、その成績によって箱根駅伝に出られるようにするという規則改正が検討されているのだ。

● 出雲駅伝と全日本でも 関東勢が上位を独占

 大学駅伝には「三大駅伝」と呼ばれる大会がある。10月(体育の日)に島根県の出雲大社をスタート地点にして行われる出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)と、愛知県の熱田神宮から三重県の伊勢神宮までを走る全日本大学駅伝対校選手権(全日本)、そして箱根駅伝だ。

 出雲駅伝と全日本を主催するのは、日本の学生陸上競技を統括する日本学生陸上競技連盟(日本学連)で、れっきとした全国大会。だが、出雲は1989年の大会開始以来、今年の29回大会まで、すべて関東の大学が優勝している。

 全日本は1970年に始まり今年で49回を数えたが、1987年の第18回大会から32年間、関東の大学が制した。どちらの駅伝も、この10年ほどは上位を関東の大学が独占し、他の地区の大学は10位以内に入るのも難しい状態が続いている。

 日本学連の下部組織である関東学連が主催する「地方大会」の箱根駅伝を目標とする関東の大学が、「全国大会」の出雲駅伝と全日本で圧倒的強さを見せるというヘンテコな状況にあるのだ。

 こうした構図が生まれるのは高校時代、優秀な成績を収めたランナーが「箱根駅伝を走れる」関東の大学に集中するからに他ならない。

 箱根駅伝は1920年に始まり、来年1月の大会で第94回を数える。この積み重ねの中で多くの名勝負が演じられ、名ランナーが生まれた。長距離ランナーを目指す若者には、この伝統の一員になりたいという意識があるわけだ。


 1987年に開始された、日本テレビによる完全中継の効果も大きい。1区間20キロメートルほどを10人でタスキをつないでいくレースには、さまざまなドラマがある。ごぼう抜きあり、大失速あり。フラフラになりながら必死でたすきをつなごうとする選手の姿にも、見る者は感動する。

 一方、激闘を制したメンバーの表情には、大きな達成感がある。そうしたシーンを見て競技を始める選手も多く、誰もが箱根駅伝を走ることを夢見て、関東の大学を目指すわけだ。

 テレビ中継以前は、関東以外の大学も全日本で好成績を収めていた。1979年に行われた第10回大会では福岡大学が優勝。12回、13回大会でも福岡大が連覇しているし、1986年の第17回大会は京都産業大学が制している。

 また、全日本の第1回大会は、優勝こそ関東の日本体育大だったが、2位=福岡大、5位=中京大、6位=大阪商業大、7位=大阪体育大、8位=九州産業大、9位=同志社大と、10位までに関東以外の大学が6校入っている(関東の大学の出場枠が6校だったこともあるが)。

 全日本では、その後も京産大、福岡大、中京大、大体大などは上位に食い込むことが多かったが、箱根駅伝がテレビ中継され、注目を浴びるようになってからは成績は下降していった。テレビ中継が長距離ランナーの"関東一極集中"を加速させたといえる。

● 九州や関西にも有望高あり 中でも注目は皇學館大学

 とはいえ、箱根駅伝の規則が見直され、関東以外の大学にも出場の可能性が与えられれば、こうした流れも変わるだろう。

 例えば九州の高校生ランナー。遠い関東の大学に進学して競技を続けるのは不安もあるだろうし、親の負担も大きいはずだ。だが、実績のある福岡大や全日本の常連になっている第一工業大(鹿児島県)で箱根を目指すという選択肢が生まれるわけだ。関西も同様で、伝統校の京産大や最近力をつけてきている立命館大、関西学院大、大阪経済大を目指す有力ランナーも出てくるだろう。


 また、注目したいのは皇學館大学だ。三重県伊勢市にある主に神職を養成する大学だが、今年の全日本では初出場ながら17位に入る健闘を見せた。地元の大学の活躍は大きな話題になったものだ。力をつけている段階であり、今後は有力ランナーが集まるかもしれない。

 箱根駅伝の全国大会化検討の報を受けて、スポーツ紙やネットメディアが、その方針に賛成か反対かのアンケートをしている。

 その結果を見ると賛成が約6割、反対が約3割だった。反対意見を見ると「長い伝統は変えるものではない」「箱根駅伝は関東のもの。箱根路を他の地域の大学が走るのは違和感がある」といったものが目立つ。守旧派が多いようだ。賛成意見には「全国のレベルアップにつながる」「他の地域の大学が箱根で優勝するようなことがあればサプライズで盛り上がりそう」などがあった。

 現状では、関東の大学と他の地域の大学では大きな実力差があり、たとえ門戸が開かれたとしても予選会を通過すること自体、高いハードルだろう。だが、箱根駅伝出場を勝ち取った時は大きな話題になることは間違いない。また、力をつけて上位争いをするようになれば、それも感動的だ。箱根駅伝の全国大会化、ぜひ実現させてほしいものだ。

 (スポーツライター 相沢光一)

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